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検査
検査データをどう読むか
著者: 伊藤喜久1
所属機関: 1自治医科大学・臨床病理学教室
ページ範囲:P.704 - P.704
文献購入ページに移動 患者:42歳,主婦.主訴:手足のしびれ,点状出血.家族歴:特記すべきことはない.既往歴:小児の頃しばしば扁桃炎にかかる.13歳敗血症,16歳虫垂炎の疑いで手術を受けてから,以後イレウスの疑いで開腹手術を受け輸血後肝炎に罹る.現病歴:10年以上前から下肢後面に絞握感,膝関節痛を伴って点状出血,紫斑が出現し,とくに冬期,長時間起立していると起こりやすい.昨年からは上肢遠位部〜末端部にも拡大し,膝,手首,肘の関節痛を伴い,時々鼻出血も合併した.現在,薬剤の投与は受けていないが,Pc,CM,ピリンに過敏性がある.身体所見:身長155cm,体重60kg,栄養状態良.体温37.2℃,血圧120/70,脈拍80/分整,眼瞼結膜は軽度貧血はあるが黄疸はない.鼻腔粘膜に出血,痂皮を伴ったビラン.両下肢には散在性に米粒〜栗粒大の点状出血,紫斑が分布(図1).表在リンパ節は触知せず,胸部では心尖部にLHの収縮期雑音を聴取.肺野は打聴診ともに正常,腹部では肝脾触知せず.腱反射では,膝蓋・アキレス腱反射ともに消失,知覚も低下しparesthesia,dysesthesiaが強い.検査所見(表1):血液学的検査では軽度〜中等度の鉄欠乏性貧血があり,出血傾向を認めたが,血小板異常,凝固異常はない.
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