文献詳細
文献概要
今月の主題 呼吸不全の臨床 慢性呼吸不全の臨床
診断の手順
著者: 岡村樹1 工藤翔二1
所属機関: 1都立駒込病院・呼吸器内科
ページ範囲:P.760 - P.762
文献購入ページに移動 ●慢性呼吸不全の概念と診断基準
わが国では,厚生省特定疾患呼吸不全調査研究班が呼吸不全(respiratory failure)を「原因の如何を問わず,動脈血ガス,特にO2とCO2が異常な値を示し,そのために生体が正常な機能を営み得ない状態」と定義し,表1に示すような呼吸不全の診断基準を発表している1).これによれば慢性呼吸不全とは,呼吸不全の状態(PaO2 60 torr以下またはそれに相当する呼吸障害を呈する異常状態)が少なくとも1カ月以上続く場合ということであるが,これはかなり漠然とした診断基準と言える.
現在わが国では,急性,慢性を問わず,呼吸不全をPaO2 60 torr以下で診断することについては一応のコンセンサスが得られている.しかし,呼吸不全の診断は動脈血液ガス値でなされるにしても,それが急性か慢性か,または慢性呼吸不全の急性増悪かの判断を動脈血液ガス値のみから下すことは困難である.この判断は治療方針を決定するうえでも重要であり,そのためには動脈血液ガス値のみならず,自覚症状,病歴,理学所見,各種の臨床検査所見などを併せて考慮し,その病態を把握することが必要である.
わが国では,厚生省特定疾患呼吸不全調査研究班が呼吸不全(respiratory failure)を「原因の如何を問わず,動脈血ガス,特にO2とCO2が異常な値を示し,そのために生体が正常な機能を営み得ない状態」と定義し,表1に示すような呼吸不全の診断基準を発表している1).これによれば慢性呼吸不全とは,呼吸不全の状態(PaO2 60 torr以下またはそれに相当する呼吸障害を呈する異常状態)が少なくとも1カ月以上続く場合ということであるが,これはかなり漠然とした診断基準と言える.
現在わが国では,急性,慢性を問わず,呼吸不全をPaO2 60 torr以下で診断することについては一応のコンセンサスが得られている.しかし,呼吸不全の診断は動脈血液ガス値でなされるにしても,それが急性か慢性か,または慢性呼吸不全の急性増悪かの判断を動脈血液ガス値のみから下すことは困難である.この判断は治療方針を決定するうえでも重要であり,そのためには動脈血液ガス値のみならず,自覚症状,病歴,理学所見,各種の臨床検査所見などを併せて考慮し,その病態を把握することが必要である.
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