icon fsr

文献詳細

雑誌文献

medicina27巻5号

1990年05月発行

文献概要

カラーグラフ Oncology Round・9

癌性リンパ管症,DICを呈した胃癌の症例

著者: 高橋幸則1 金田智2 片山勲3

所属機関: 1東京都済生会中央病院・内科 2東京都済生会中央病院・放射線科 3埼玉医科大学・病理

ページ範囲:P.867 - P.871

文献購入ページに移動
 癌患者が不幸の転帰をとるまでに描く臨床像は,癌の種類により,さらに個々の患者によりさまざまである.しかし,多彩な病像の土台となる主要病変の種類となると,驚くほど数は限られている.たとえば,癌患者の死因となるのは,感染・出血・癌浸潤の3つのうちのどれかである場合がほとんどである.しかし,実際には出血ひとつをとってみても,患者により出血臓器(脳,肺,胃など),出血のパターン(DICによる出血傾向,癌に侵食された血管の破綻など),出血の程度,原病変の種類などが患者ごとに異なるために,前景に立っ癌患者の臨床像は非常に多彩となるのである.
 今回は胃癌にDICが合併し,脳出血で死亡した患者を紹介する.この症例では,骨髄への転移が最初に発見され,精査の後,原発の胃癌が発見された.その間の事情は第8回に提示した不顕性癌(occult cancer)の症例において,リンパ節転移の発見を契機として精査され,子宮頸癌が発見されたのと似ている.すなわち,本症例においても,最初に臨床症状・徴候の前景に立っていたのは,DICと不顕性癌の2つであり,いずれも諸種の癌患者に共通して起こり得る重要な合併症である.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1189

印刷版ISSN:0025-7699

雑誌購入ページに移動
icon up
あなたは医療従事者ですか?