文献詳細
文献概要
今月の主題 わかりやすい心電図の臨床 心電図の読み方
ST偏位
著者: 中島克彦1
所属機関: 1関東逓信病院・循環器内科
ページ範囲:P.914 - P.916
文献購入ページに移動 心室心筋の脱分極によって生ずるQRS波と,再分極によるT波とのあいだをST部と呼ぶ.心室収縮期の始まりから極期にかけての時期に相当し,心電図で心筋傷害を診断する際に最も重要な部分である.正常では,この時期は心筋全体が脱分極しているので,外部から電位差は検出されず,基線と一致した直線となる.
心筋に傷害があると,静止電位が減少あるいは消失し,健常部と傷害部の間に傷害電流が流れ,基線(TP間)が偏位する.これがST偏位の主たる原因と考えられている.すなわち,ST部の電位差は0であっても,基線が偏位しているためSTが偏位しているように見える.また心筋興奮時に傷害部の脱分極が不完全であると,健常部との問に傷害電流が流れ,さらにST偏位が増強する.
心筋に傷害があると,静止電位が減少あるいは消失し,健常部と傷害部の間に傷害電流が流れ,基線(TP間)が偏位する.これがST偏位の主たる原因と考えられている.すなわち,ST部の電位差は0であっても,基線が偏位しているためSTが偏位しているように見える.また心筋興奮時に傷害部の脱分極が不完全であると,健常部との問に傷害電流が流れ,さらにST偏位が増強する.
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