icon fsr

文献詳細

雑誌文献

medicina27巻6号

1990年06月発行

今月の主題 わかりやすい心電図の臨床

心電図の読み方

ST偏位

著者: 中島克彦1

所属機関: 1関東逓信病院・循環器内科

ページ範囲:P.914 - P.916

文献概要

 心室心筋の脱分極によって生ずるQRS波と,再分極によるT波とのあいだをST部と呼ぶ.心室収縮期の始まりから極期にかけての時期に相当し,心電図で心筋傷害を診断する際に最も重要な部分である.正常では,この時期は心筋全体が脱分極しているので,外部から電位差は検出されず,基線と一致した直線となる.
 心筋に傷害があると,静止電位が減少あるいは消失し,健常部と傷害部の間に傷害電流が流れ,基線(TP間)が偏位する.これがST偏位の主たる原因と考えられている.すなわち,ST部の電位差は0であっても,基線が偏位しているためSTが偏位しているように見える.また心筋興奮時に傷害部の脱分極が不完全であると,健常部との問に傷害電流が流れ,さらにST偏位が増強する.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1189

印刷版ISSN:0025-7699

雑誌購入ページに移動
icon up

本サービスは医療関係者に向けた情報提供を目的としております。
一般の方に対する情報提供を目的としたものではない事をご了承ください。
また,本サービスのご利用にあたっては,利用規約およびプライバシーポリシーへの同意が必要です。

※本サービスを使わずにご契約中の電子商品をご利用したい場合はこちら