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文献詳細

雑誌文献

medicina27巻6号

1990年06月発行

文献概要

今月の主題 わかりやすい心電図の臨床 心電図の読み方

T波とU波

著者: 沢登徹1

所属機関: 1東京医科歯科大学難治疾患研究所・循環器病部門

ページ範囲:P.918 - P.921

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〔T波〕
●T波の成立機序
 心電図波形を構成するT波は心室の再分極に関係し,心電図上ではQRS波の後に認めるもう一つの山で,それは心室脱分極波QRSと同方向である.このことは興奮順序が心室壁の内膜側から外膜側に進行し,活動電位波形が外膜側に比べ内膜側で持続時間が長く,その両者の差から説明されている.心室表面を冷却すると表面側の活動電位持続時間(APD)は長くなり,加温するとそれとは反対にAPDは短縮し,内膜側APDが変化せず伝導時間が変わらないとすれば,T波の極性が変わる.その際心室内外で30〜50msの差が必要である1).前者ではT波は陰転し,後者ではT波は増強される(図1).心尖部と心基部の間でも,心尖部が心基部の活動電位の持続時間が長い場合に成立する.まとめると,T波変化は興奮伝導時間と心筋細胞固有の活動電位持続時間の総合として考えられる.この考え方は異常条件下のT波では固有の活動電位持続時間は変わらない状態で,心室性期外収縮のT波は伝導時間の遅れでT波がQRS波と反対方向を向くことが説明される.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1189

印刷版ISSN:0025-7699

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