文献詳細
文献概要
今月の主題 抗生物質の使い方 抗生物質の特徴と使い方
ペニシリン系の使い方
著者: 大貫寿衛1
所属機関: 1東京都済生会渋谷診療所
ページ範囲:P.1140 - P.1142
文献購入ページに移動PC剤のすべてを紹介しても意味がないので,筆者の選択を加えて表に示した.セフェム剤の進歩でPC剤は影が薄くなった感があることは否めないが,セフェム剤は第3世代に至ってブドウ球菌(ブ菌)に対する抗菌力の弱さが問題となり,PC剤がその使いやすさもあってまた見直されている.しかしメチシリン耐性黄色ブ菌(MRSA)感染症に対しては,PC剤でなくバンコマイシン(VCM)やリファンピシン(RFP)が用いられる.
表のうちABPCは緑膿菌には抗菌力がないので,それを補うために表の4)の抗緑膿菌用のPCが作られたが,緑膿菌以外の菌に対しては表の4)のPC剤よりもABPCのほうがすぐれている.PIPCは抗緑膿菌作用のみでなく全般的にみて現在最も強力なPCと思われ,MZPCがこれに次ぎ,ほぼPIPCと等しい.LAPC,ASPCは比較的新しい製剤で,LAPCは抗菌力の点では目立った改善はないが,胃腸障害の軽減が期待されており,またASPCは構造と作用機序が従来のPC剤と少し異なる点で今後に期待がもたれている.オーグメンチン®,ユナシン®に用いられているCVA,SBTは,いずれもβラクタマーゼ抑制剤である(併用療法の項参照).
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