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文献詳細

雑誌文献

medicina27巻9号

1990年09月発行

文献概要

今月の主題 ウイルス肝炎 Q & A

慢性肝炎の患者は,食後30分〜1時間ぐらい横になって安静をとるべきと言われていますが,現実には難しくありませんか./病院職員がHBVキャリアであったら業務内容に注意が必要ですか.

著者: 渡辺明治1 飯野四郎2

所属機関: 1富山医科薬科大学・第3内科 2東京大学医学部・第1内科

ページ範囲:P.1480 - P.1480

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 横臥位になっての安静は必ずしも必要ではありません.肝血流量は横臥位から座位になるだけで低下しますので,肝血流量を維持しなければならないというのなら座ることすらできないことになります.食後30分くらい,食事をした場所かまたは席を移して仲間と話しをしたり,新聞や雑誌を読んだりして静かにしていればよいと思います.あくまで,食後すぐに動きまわらないという意味です.この程度のことなら,少し朝早く起きて出勤までの時間をゆっくり過ごすよう工夫すれば実行可能です.また,職場で昼食をとった後でも,環境に応じた休息の仕方を考え出してほしいと思います.
 ただ,食後の安静が必要なのは何も肝臓病の患者だからという理由では決してなく,健康な人でもこの良き習慣を守ることは大切だと思います.


 患者に接することがない事務職員の場合は当然のことながら,問題とはならない.
 患者と接する医師・看護婦などの職員の場合,まず第一に本人がHBVキャリアであることを自覚し,キャリアとして日常注意すべき事項(主として出血時の対応)を完全に履行できる場合には問題とはならない.第二に,HBe抗原陽性の場合にはは幼児とくに新生児に接することはできるだけ避けたほうがよいと思われる.これは接触によって感染が起こるというのではなく,万一,他の原因で感染が起きても,第一に感染源として疑いを持たれる可能性があるからである.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1189

印刷版ISSN:0025-7699

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