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文献詳細

雑誌文献

medicina27巻9号

1990年09月発行

文献概要

今月の主題 ウイルス肝炎 Q & A

HBe抗原からHBe抗体にseroconversionした後でも肝炎は進行しますか.

著者: 赤羽賢浩1

所属機関: 1山梨医科大学・第1内科

ページ範囲:P.1490 - P.1491

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 HBVキャリアではHBe抗原のseroconversionに伴いしばしば肝病変の一過性の増悪がみられ,HBe抗体期の成立とともに肝病変の非活動化,鎮静化が認められる.しかもHBe抗原の消失,HBe抗体の出現により循環血液中のウイルス量は極端に減少するのが一般的である.
 しかし,HBe抗体の出現にもかかわらず,ALTの異常が遷延する症例が稀ならず経験される.これらの症例の成立機序としてはδ因子(HDV)の重感染,HCVの重感染などの可能性もあるが,これらの症例の中にはHBe抗体陽性でありながらHBVの活発な増殖が持続する症例が存在するのは確実である.地中海地方や台湾の報告では,これらのHBe抗体陽性でありながら,HBV-DNAが検出されるB型慢性肝炎は重篤で進展する危険性がとくに高いことが強調されているが,最新の報告では,これらの症例ではHBV-DNAのpre-C領域の83番目の塩基がguanineからadenineに点変異をきたし,pre-C領域にコードされるべき29個のアミノ酸のうち28番目のコドンがstop codonとなり,HBe抗原の前駆蛋白が産生されないmutantが活発に増殖していることが明らかにされている.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1189

印刷版ISSN:0025-7699

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