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文献詳細

雑誌文献

medicina28巻10号

1991年10月発行

文献概要

今月の主題 臓器感染症と抗生物質の選択 気道感染症

急性上気道感染症と気管支炎の治療

著者: 力富直人1

所属機関: 1長崎大学熱帯医学研究・内科

ページ範囲:P.1692 - P.1694

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 急性上気道感染症はいわゆるかぜ症候群としてみられることが多く,鼻炎症状としての鼻汁,鼻閉,咽頭症状としての咽頭痛,咳,そして理学的所見では粘膜の発赤,腫脹がみられる.かぜ症候群は1969年の第66回日本内科学会において答申されたごとく「上気道における急性のカタル(粘膜)性炎症」であり,その原因ウイルスとしてはインフルエンザウイルス,アデノウイルス,リノウイルス,RSウイルスなどの呼吸器病原ウイルスのみならず,エコーウイルス,コクサッキーウイルスなどの消化管ウイルスなども同様の症状を起こすし,マイコプラズマによっても惹起される.その際に起こる急性気管支炎は,ウイルスが関与するものと二次性の細菌性気管支炎の両者が考えられる.合併する細菌感染症は気管支などの下気道だけでなく,副鼻腔炎,咽頭炎,扁桃炎も惹起されるので,注意が必要である.
 ウイルスによるかぜ症候群では対症療法のみの治療となるが,細菌感染合併例では抗生物質の投与が必要となってくる.細菌感染を合併したことを示唆する所見は,上気道であれば局所の発赤,腫脹,膿性滲出物が重要であり,気管支炎であれば膿性痰の増加である.もちろん長期の高度発熱,末梢白血球数の増加,高度の血沈亢進,CRPなどの炎症反応亢進も細菌感染合併を疑わせる所見として重要であるが,外来でいち早く判断するには上記のような局所の理学的所見や喀痰の性状から判定するほうが実際的である.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1189

印刷版ISSN:0025-7699

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