文献詳細
文献概要
増刊号 わかりやすいエコー法の臨床 腹部エコー法 疾患と腹部エコー図異常
膵疾患—慢性膵炎
著者: 秋本伸1 及川悦雄3
所属機関: 1横浜総合病院・消化器センター 2Faculty of Medicine, Univ. of Skopje(Yugoslavia) 3東京女子医科大学・消化器病センター
ページ範囲:P.374 - P.380
文献購入ページに移動慢性膵炎に特別の検査手順があるわけではないのはいうまでもない.一連の腹部超音波検査手順の中で行われる膵臓のスキャンニングと理解すればよい.必ずしも決まった方法があるわけではなく,検者によって異なっていても当然である.手慣れていること,確実であること,が満足されれば,それでよいといえる.以下に筆者らの膵臓スキャンニングの手順を簡単に説明する(図1).なお被検者の基本体位は坐位としている.また臓器の検査順序は,腎・脾・肝・胆・膵・下腹部としている.
①まず心窩部正中矢状断で確実に膵体部を捉える(図2a).
②そのままプローブを向かって右(被検者の左)に傾けて,膵頸部から頭部,鉤部を縦方向で斜めにそぐように描出する(図2b).
③正中矢状断に戻し,逆に,向かって左にプローブを傾けて,膵体部から尾部をそぐようにのぞき込むように描出する(図2c).
④①〜③で捉えた膵臓の位置を目安に,プローブを逆時計方向に回して,膵臓の長軸に沿った斜め横断像を得る(図2d).
⑤左肋間から脾臓を描出し,脾門部近傍の膵尾部を確認する.
この手順で膵臓各所を2断面以上で描出したことになる.まれに坐位よりも仰臥位でよくみえることもあるが,大半は坐位あるいは半坐位で検査を完了する.
掲載誌情報