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文献詳細

雑誌文献

medicina28巻13号

1991年12月発行

文献概要

Q&A

K,CaやMgの摂取は高血圧の食事療法として有効か./臥位血圧と坐位血圧の違いについて.

著者: 吉村学1 久代登志男2

所属機関: 1京都府立医科大学・臨床検査医学 2駿河台日本大学病院・循環器科

ページ範囲:P.2067 - P.2067

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A 本態性高血圧症ではK,CaおよびMgの尿中排泄量が多く,体内では負の出納を呈しやすい.特に,利尿薬を服用すると負出納は著しくなる.K,Ca,Mgは降圧的に働くことから,これらの不足は昇圧的に働き,その補充療法はミネラル・バランスを是正し,また降圧を促すことから,患者指導上重要である.肉,牛乳,いも,果物を主食とする欧米ではこれらミネラル不足はきたし難く,また生じても程度も軽く,したがって,これら食事療法はWHOや全米高血圧委員会の非薬物療法の指針に含まれていない.しかし,食生活を異にする本邦では米飯と塩物が主食でありまた,蛋白性食品摂取が少ないことから,K,Ca,Mg不足をきたしやすい.特に,降圧利尿薬が繁用される本邦では,Na利尿に伴いK,Ca,Mg利尿を呈することからその不足をきたしやすく,K,Ca,Mg補充療法は必須と考えられ,本邦独自の食事療法の確立が望まれる.Kの降圧効果はヒトおよび動物で認められるが,CaおよびMgは未だ欧米人では認められず,本邦人で摂取量を調べた上での検討が必要である.


A 臥位から坐位/立位をとると重力による血液の下半身へのシフトのため,右心への還流血液量と心拍量は一時的に減少する.それを補正するため,圧受容体反射を介した急性の反射性交感神経緊張が生じる.健常人では受動的立位により1回拍出量は減少するが,心拍数と末梢血管抵抗の増加により収縮期圧は維持されるか軽度低下する.拡張期圧は大動脈に拍出された血液が末梢に流れにくくなると増大するので軽度増加することが多い.これらの変化は,健常者では高齢者でも同様であるとされている.自律神経障害,末梢血管の機能異常,体液量減少(脱水,出血時),および本態性低血圧では立位時に収縮期,拡張期圧ともに著明に低下することがある.臥位と立位の収縮期血圧の差が20mmHg以上あれば起立性調節障害が存在すると考えられる.
 血圧は臥位と坐位/立位で異なっているが,高血圧の診断と血圧管理の指標としては,坐位での測定値が基準となっている.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1189

印刷版ISSN:0025-7699

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