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文献詳細

雑誌文献

medicina28巻13号

1991年12月発行

文献概要

Q&A

無症候性ラクネとは何ですか.

著者: 和田博夫1

所属機関: 1東京大学医学部・老年病学教室

ページ範囲:P.2112 - P.2112

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A 無症候性(asymptomatic)とは病変が存在するにもかかわらず自他覚症状のない病態を言う.またラクネ(lacunae)とは本来「小窩」あるいは「小さな空洞」を意味するが,ここでは脳内の小梗塞を意味する.最近無症候性脳梗塞について議論されているが,これは症状に出ないような微小脳梗塞がCTあるいはMRIで初めて偶然に発見されるものをいう.梗塞部位としては大脳深部白質や脳幹部が多い.大きな脳動脈の穿通枝である小血管に小梗塞が存在するにもかかわらず症状のないものが「無症候性ラクネ」である.梗塞部位にもよるが一般的には梗塞巣が小さい程無症候となる.無症候性ラクネの危険因子としての高血圧の関与は35%程度であり,症候性ラクネの場合程ではなく,また心房細動(特にNVAF)などの心疾患との関係が議論されている.しかし,その病的意味や予後(特に痴呆との関連)に関しては今後の検討が必要と考えられる.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1189

印刷版ISSN:0025-7699

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