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文献詳細

雑誌文献

medicina28巻3号

1991年03月発行

文献概要

今月の主題 最新の肺癌診療 最新の治療

肺癌に維持療法は必要か

著者: 田村友秀1 西条長宏2

所属機関: 1国立がんセンター病院・内科 2国立がんセンター病院・研究所薬効試験部

ページ範囲:P.478 - P.481

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 “維持療法”の明確な定義はなく,日常広い意味で漠然と使われることが多い.維持療法を初回治療で得た最大効果を維持するための治療法と考えると,一般には少し弱めの治療を初回治療に引き続き行うような印象を持つ人が多いかもしれない.しかし,このような維持療法が成り立つには,初回治療において十分な効果が得られること,その維持療法の有効性が確立していることが大前提である.他項で述べられているように肺癌化学療法の効果はいまだ不十分であり,現在の最大の課題は,今得られる化学療法効果を維持することではなく,初回治療での効果を増強することにあるといえる.他方,化学療法有効例に対してその化学療法をいつまで続けるかという治療継続期間の意味での維持療法は,患者のQOL(quality ofIife)を考えても,臨床試験のデザイン,また結果の評価においてもきわめて重要な問題である.したがって,本項では,主に初回化学療法の至適治療継続期間という意味を含む“維持療法”について検討してみたい.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1189

印刷版ISSN:0025-7699

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