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雑誌目次

雑誌文献

medicina28巻4号

1991年04月発行

雑誌目次

今月の主題 消化器薬の使い方—その効果と限界

(editorial)消化器薬の使い方—その効果と限界

著者: 上野文昭

ページ範囲:P.566 - P.567

●薬ぐらい誰でも出せるが……
 医師が薬物療法を行う際,最低限必要なことは何であろうか?おそらく処方箋を書くことだけが最小限物理的に要求される.実際,これだけで患者に対して治療が可能となることが薬物治療の恐いところである.患者の病態をたいして把握していなくても,また薬剤に対する知識を持ち合わせていなくても,薬剤名と投与量と適応症ぐらい知っていれば,薬物療法は一応物理的に可能になってしまうのである.
 一方,外科的冶療の場合を考えてみたい.例えば胆?摘出術を行う際,ただ胆石があるからといって,見様見真似で患者の腹を開く医師はよもやいまい.手術法について成書を熟読し,実際の手技の適切な研修を受け,合併症とその対策にも熟知し,個々の症例で適応を考えた上,患者に十分な説明を行い,同意を得た後に治療を行うのが常識である.

消化器症状の対症療法

対症療法の適応と限界

著者: 菅田文夫

ページ範囲:P.568 - P.569

ポイント
1)対症療法薬の使用については,薬理作用,代謝動態などを知り,効果,有害反応などに注意し,使用はなるべく短期間にとどめるべきである.
2)回復の見込みのない末期患者に対しては,有害反応をなるべく抑える対策をたてながら,対症療法は積極的に行うことをすすめたい.
3)投薬中は患者の全身状態を把握し,効果,有害反応の動向に目をそらしてはならない.

腹痛の対症療法の考え方・行い方

著者: 大貫寿衛

ページ範囲:P.570 - P.573

ポイント
1)腹痛の原因は胸部臓器の疾患まで含め非常に数多いので,病態の判断が重要である.
2)腹痛の対症療法は薬物の内服,注射,直腸内投与が主体で,最近これに加えて神経ブロックが行われる.
3)内臓痛主体の腹痛にはまず鎮痙剤から試み,体性痛のときには鎮痛剤を中心に薬剤を選ぶが,まず急性腹症を除外することが重要である.
4)悪性腫瘍末期や術後24時間などに対しては,麻薬性鎮痛剤とくにモルヒネ,それと神経ブロックが有用である.

下痢と便秘の対症療法

著者: 酒井義浩

ページ範囲:P.574 - P.576

ポイント
1)対症療法はあくまで原因追及の過程での便法であり,有効であっても無為に継続してはならない.また問診や身体所見を重視して,より適切な対症療法がなされるべきである.
2)消化管運動機能調整剤を中心に選択する.
3)原因が明らかになった時点で,より適切な薬剤に変更する.

抗癌剤投与による嘔気・嘔吐の対症療法

著者: 相澤信行

ページ範囲:P.578 - P.580

ポイント
1)嘔気・嘔吐は最も頻度の高い抗癌剤の副作用の1つである.
2)抗癌剤投与前にその対策をたてておく.
3)我慢をさせる必要はなく,積極的に大量の制吐剤を使用することが大切である.

腹部不定愁訴の対症療法

著者: 宮原透

ページ範囲:P.581 - P.583

ポイント
1)器質的疾患にのみとらわれないこと.
2)心身相関による機能障害を把握する.
3)薬物療法は,抗精神薬と消化器薬を併用する.
4)薬剤の使用にあたっては,症状の移動に注意する.
5)抗不安剤には効果の差がある.
6)仮面うつ病の存在に留意する.

消化管運動機能障害

消化管運動調節剤の使い方

著者: 関口利和 ,   堀越勤

ページ範囲:P.584 - P.586

ポイント
1)各種の消化管運動障害に対しては,その病態を正確に把握することが大切である.
2)運動機能低下に対しては亢進させるように,また,運動機能亢進に対しては抑制するように治療することが必要である.
3)定期的に病態を再検討し,常に適切な治療を行う必要がある.

胃食道逆流疾患と食道運動機能疾患における薬の使い方

著者: 本郷道夫

ページ範囲:P.589 - P.592

ポイント
1)消化管運動機能改善剤はLES圧を上昇させ,胃排出能を改善させることにより胃食道逆流を少なくする.
2)逆流した胃内容物が食道粘膜を刺激しないようにするため,胃酸分泌抑制剤あるいは制酸剤による酸の中和を行う.
3)逆流内容物が食道粘膜を直接刺激しないようにアルギン酸Naを併用する.

過敏性腸症候群における薬の使い方

著者: 佐々木大輔

ページ範囲:P.593 - P.594

ポイント
1)過敏性腸症候群(Irritable Bowel Syn-drome;IBS)は,症状の軽微な患者からコントロールの困難なものまで,臨床像に幅がある.薬物治療にあたっては,患者の重症度に応じた薬剤の選択が必要である.
2)IBSの薬物治療にはいくつかのアプローチがある.下剤や止潟剤による便通異常の治療,消化管の運動異常を改善する目的の身体面の治療,向精神薬による不安あるいは抑うつなどの精神症状の治療,自律神経調整剤による全身的自律神経調整を目的とした治療などである.
3)ある種の向精神薬には消化管の運動に対する作用もあり,薬剤のもつ作用とIBSの患者の消化管運動の病態の両者を考慮にいれて用いるべきである.

消化性潰瘍とその類縁疾患

消化性潰瘍の薬物療法の基本

著者: 岡崎幸紀

ページ範囲:P.596 - P.599

●薬物療法の過去と現在
 消化性潰瘍の治療は,かつては安静,食事療法,薬物療法が3原則で,等分に比重がかけられていた.
 現在の薬物療法は,19世紀の半ばから用いられるようになった制酸剤が始まりといえるが,その形態を整えたのは,1950年代の抗コリン剤の開発と,その後に続く各種の抗潰瘍剤の登場である.

H2ブロッカーの効果とその限界

著者: 谷礼夫

ページ範囲:P.600 - P.603

ポイント
1)強力かつ持続時間の長い酸分泌抑制剤である.
2)高い治癒率と速やかな症状消失を示す.
3)1日2回投与が標準で,1日1回投与法が可能である.
4)修復機転の補強のため,防御因子増強剤との併用が望まれる.
5)本剤を用いても難治性の潰瘍がある(H2プロッカー抵抗性潰瘍).
6)本剤で速やかに治癒しても投薬を中止すれば再発するので,維持療法が必要.7)維持療法は常用量の半分が原則で,防御因子増強剤との併用が望ましい.

H2ブロッカー以外の抗潰瘍薬とその使い方

著者: 寺野彰

ページ範囲:P.605 - P.608

 H2ブロッカー以外の抗潰瘍薬というと,H2ブロッカー以外の胃酸分泌抑制薬および防御因子増強薬ということになる.その他に攻撃因子と防御因子の調節因子としてのプロスタグランディン製剤を挙げることができる.本項では,これら薬剤の使い方とその限界について解りやすく論述する.

胃潰瘍と十二指腸潰瘍の薬物療法の相違点

著者: 野村喜重郎

ページ範囲:P.610 - P.611

ポイント
1)胃潰瘍は防御因子の低下が主病態で,十二指腸潰瘍は攻撃因子の亢進が主病態.
2)胃潰瘍の治療は,攻撃因子抑制剤,防御因子増強剤(表1,2)の併用が望ましい.十二指腸潰瘍の治療は,攻撃因子抑制剤のH2ブロッカーが第1選択剤である.

消化性潰瘍の再発予防

著者: 安海義曜

ページ範囲:P.612 - P.614

ポイント
消化性潰瘍に対するH2受容体拮抗剤の短期および長期維持療法による再発予防効果

出血性消化性潰瘍の薬物療法の効果と限界

著者: 丸山正隆

ページ範囲:P.616 - P.619

ポイント
1)出血性消化性潰瘍は,本邦では上部消化管出血の50〜60%で,胃潰瘍が2/3を占めている.
2)出血性消化性潰瘍の約20%は自然に止血し,残りの約半数が内視鏡的止血法の対象となる.
3)内視鏡的止血法の止血率は約95%で,再出血率は約10%である.
4)薬物療法の成績は止血率約80%,再出血は約20%といわれている.
5)明らかな露出血管をもった病変は薬物療法の対象とはなり難く,内視鏡的止血法との適切な併用療法が望ましい.

急性胃粘膜病変(AGML)の薬物療法

著者: 野見山哲

ページ範囲:P.620 - P.622

 急性胃粘膜病変(AGML;acute gastric muco-sal lesion)とは,突発する上腹部痛,悪心,嘔吐,げっぷ,胸焼け,食欲不振や腹部膨満感,吐・下血などの消化器症状を呈し,緊急内視鏡検査によって,粘膜の浮腫,発赤,びらん,出血,潰瘍形成などの,急性胃炎,急性出血性胃炎,急性びらん,急性出血性びらん,急性胃潰瘍のいずれか,あるいはいくつかの所見を認めるものを総称して呼び,多くは原因を指摘できることが少なくない.急性胃粘膜病変(AGML)か急性胃病変(AGL)かは論議のあるところで,また虚血性胃炎の概念の提唱もあり,一般臨床家を混乱させているが,内視鏡診断時の形態診断としての急性胃粘膜病変(AGML)が一般的に用いられている.

消化性潰瘍治療剤の予防的投与の適応と効果

著者: 井上正規

ページ範囲:P.624 - P.626

 急性胃病変をはじめ,消化性潰瘍は防御因子と攻撃因子の不均衡により発生すると考えられている.また,その治療薬剤もこの不均衡の是正,すなわち,防御因子を強化する薬剤(防御因子増強剤)と攻撃因子を抑制する薬剤(攻撃因子抑制剤)により潰瘍は治癒することが知られている.
 今回筆者に与えられたテーマは“潰瘍治療剤の予防的投与の適応と効果”であるが,予防的に消化性潰瘍治療剤を投与する場合,どのような全身的あるいは局所的異常をもった症例に投与すべきか,その効果はいかなるものかなど考えられるが,予防的効果についての臨床的成績は少ない.したがって,以下,
 ①胃粘膜の防御機構とはいかなるものか
 ②消化性潰瘍を合併しやすい疾患はどのようなものがあるか
 ③ストレスおよび潰瘍形成性薬剤による胃粘膜障害
 ④消化性潰瘍治療剤の種類
 ⑤消化性潰瘍治療剤を投与すべき病態および疾患
 などについて解説し,その責を果たすこととする.

Helicobacter pyloriに対する薬物療法

著者: 中島卓利 ,   佐伯進

ページ範囲:P.628 - P.629

ポイント
1)Helicobacter Pyloriは前庭部の組織学的胃炎と深い関係があるという報告が増えている.
2)Helicobacter Pyloriに対する薬物療法は多剤併用(3者療法)が著効を示す.
3)Helicobacter pyloriの除菌により胃・十二指腸潰瘍の再発率は低下し,難治性潰瘍にも有効なことがある.
4)Helicobacter Pyloriの除菌操作は消化性潰瘍の薬物療法の1つになりうる可能性が高い.

腸疾患

炎症性腸疾患の薬物療法の基本

著者: 朝倉均

ページ範囲:P.630 - P.634

ポイント
1)潰瘍性大腸炎・クローン病に共通する事項
 ①患者の全身管理,栄養障害,脱水,電解質,貧血,低蛋白血症の補充療法を十分に行う.
 ②初期治療にサラゾピリン®,プレドニソロンを十分量投与する.
 ③緩解後の維持療法を,副作用をチェックしながら長期にわたって行う.
 ④難治例には免疫抑制剤を併用する.
2)潰瘍性大腸炎について
重症,激症,中毒性巨大結腸症には,強力静注療法やプレドニソロン腸間膜動注療法を行う.
3)クローン病について
薬物療法とともに栄養療法,とくに成分栄養剤による経腸栄養を長期に併用する.

炎症性腸疾患におけるステロイドの使い方

著者: 馬場忠雄

ページ範囲:P.637 - P.638

ポイント
1)ステロイドは特発性炎症性腸疾患の主として活動期の治療に有用である.
2)ステロイドの投与法,投与量は重症度や病変範囲により選択される.

炎症性腸疾患におけるサラゾピリンの使い方

著者: 北野厚生 ,   押谷伸英 ,   小畠昭重 ,   松本誉之 ,   大川靖孝 ,   小林絢三

ページ範囲:P.640 - P.642

ポイント
 UCに対するSASPは初回投与量を大量とし,減量は緩徐に実施する.

炎症性腸疾患の薬物療法の限界と栄養療法

著者: 平川博之 ,   福田能啓

ページ範囲:P.644 - P.646

 炎症性腸疾患として潰瘍性大腸炎とクローン病(Crohn's disease)を取り上げるが,これらの疾患は難治性の非特異性炎症で原因療法がなく,患者を緩解に導入し緩解状態を維持することが治療目標になっている.病勢の増悪時には,食事摂取量の不足・吸収障害や腸管からの蛋白漏出・出血などによって,しばしば栄養不良に陥る.このため薬物療法だけではなく,栄養療法も重要な治療法になっている.以下,当教室で行っている治療方針にしたがって,薬物療法の限界と栄養療法の実際を概述する.

炎症性腸疾患に対する新しい治療薬の展望

著者: 北洞哲治 ,   吉田武史 ,   仲村洋

ページ範囲:P.648 - P.649

 炎症性腸疾患の薬物療法の現状については別項で詳しく述べられているが,残念ながらその薬物療法には限界があり,とくに難治例に対する治療あるいは再発防止を含む根本的治療という意味では無力といわざるを得ない.原因不明とされてきた炎症性腸疾患ではあるが,近年,病因病態に関する精力的な研究が集積されつつあり,その病像も少しずつ明らかとなってきた.本稿ではこれらの知見に基づいて,炎症性腸疾患発症機序を考察する中で,将来の新しい治療薬について探ってみたい.

感染性腸炎の治療

著者: 森下鉄夫 ,   森木隆典 ,   森谷晋 ,   澤口健太郎 ,   土屋雅春

ページ範囲:P.650 - P.653

ポイント
1)感染性腸炎は,いわゆる経口伝染病と食中毒を含む.近年,経口伝染病菌と食中毒菌との中間ともいえる新しい菌の存在がわかってきた.
2)感染性腸炎の治療の基本は,脱水を是正する補液である.経口補液が第1選択であり,重症であれば,経静脈輸液を行う.
3)下痢に伴う症状や不快感が強い場合に,止痢剤を投与する.軽症より,収歛剤や吸着剤や乳酸菌製剤,臭化メペンゾレート,塩酸ロペラミド,燐酸コデインの順に投与を考慮する.
4)抗生物質は症状や病悩期間を軽減・短縮するために投与されるが,絶対的必要,相対的必要,不要と考えられる各腸炎があり,適応を考慮すべきである.

短腸症候群の治療

著者: 三浦総一郎 ,   芹澤宏 ,   土屋雅春

ページ範囲:P.654 - P.656

ポイント
 短腸症候群では,栄養状態の維持を基本とする.
1)消化酵素分泌低下や胃酸分泌過多に対し,酵素製剤やH2プロッカーを投与する.
2)難治性下痢に対しては,一般的な止潟剤や抗コリン剤は無効なことが多く,codeine phosphateなどの麻薬が必要となることもある.
3)経口での食餌摂取に努め,これのみで不十分な場合,高カロリー輸液や経腸栄養法を用いる.在宅栄養法により長期入院の問題は解決されつつあるが,その合併や患者の精神的負担も考え,円滑な日常生活を目標に努力すべきである.

肝疾患

ウイルス肝炎に対する一般薬物療法の効果と限界

著者: 渡辺明治 ,   土田敏博

ページ範囲:P.658 - P.660

ポイント
 ウイルス肝炎の治療は,今後,抗ウイルス療法が主体となると予測されるが,抗ウイルス療法では効果不十分な症例や副作用のため抗ウイルス剤の投与が不可能な症例に対しては,いまだに一般薬物療法に頼らざるをえない.あくまでも対症療法であることを理解したうえで,適切な薬剤を選択することにより,肝臓の病態をある程度コントロールできるものと考える.

慢性肝炎の抗ウイルス療法

著者: 小俣政男

ページ範囲:P.662 - P.664

ポイント
1)B型-CPH(慢性持続性肝炎)のような肝細胞変性・壊死のあまりない疾患では,ステロイドと抗ウイルス剤の併用が有効.
2)CAH(慢性活動性肝炎)では,ステロイドを併用しなくても,抗ウイルス剤単独でもある程度有効.
3)C型肝炎に対するインターフェロン治療は,根治が目指せ得る療法.

自己免疫性肝炎の薬物療法

著者: 林直諒

ページ範囲:P.666 - P.667

ポイント
1)自己免疫性肝炎の自然経過は進展が早く,5年生存率40%といわれているが,コルチコステロイドが著効を示す.
2)診断はトランスアミナーゼ高値,高γグロブリン血症,HBs抗原陰性の症例,とりわけ女性例では第1に考えるべき疾患である.
3)治療診断基準に合致すれば早期に治療を開始し,少なくとも2年は維持療法をするのが望ましい.

アルコール性肝障害の薬物療法

著者: 重田洋介

ページ範囲:P.668 - P.669

 アルコール性肝障害は病理組織学的に,脂肪肝,アルコール性肝炎,肝硬変に分類されるが,わが国ではこの他に,炎症所見に乏しく小葉中心性あるいは肝細胞周囲性の線維増生をみる肝線維症,また門脈域の炎症性変化を主体とする慢性肝炎が比較的多くみられる.
 脂肪肝はアルコール性肝障害の最も基本的な病態で,過剰の飲酒により必ず発生するが,禁酒により正常化する可逆的なものである,しかしこの状態のままさらに過剰飲酒が加わると,アルコール性肝炎が発症し,このアルコール性肝炎の反復により結合織の増生がくり返され,再生結節が形成され肝硬変症となる.しかし現在ではこのような古典的アルコール性肝障害の進展過程以外に,肝線維症や慢性肝炎を経過して肝硬変へ進展する可能性が考えられている.

肝内胆汁うっ滞の薬物療法

著者: 戸田剛太郎 ,   池田有成 ,   橋本直明

ページ範囲:P.670 - P.672

ポイント
1)薬物性肝内胆汁うっ滞では,黄疸の遷延する症例が薬物療法の対象となる.
2)原発性胆汁性肝硬変では,免疫抑制剤の使用は慎重でなくてはならない.
3)原発性胆汁性肝硬変に対しては,ウルソデオキシコール酸が第1次選択である.しかし,組織学stageの進展した症例には慎重に投与する.

肝性脳症の薬物療法

著者: 与芝真

ページ範囲:P.674 - P.675

●肝性脳症を起こす基礎疾患
 肝性脳症とは,種々の原因による肝機能障害に基づく中枢神経症状の総称である.神経症状は羽ばたき振戦や失見当識に始まる意識障害の他,逸脱行為や痴呆のような知能活動の低下,せん妄,妄想など精神病を思わせる症状を呈することもあり,精神科に入院させてから診断されるといった事態も起こるので,臨床医は不明の精神神経症状を呈する患者の中に常に肝性脳症患者がまぎれ込んでいる可能性を念頭に入れておく必要がある.
 種々の疾患が肝性脳症の原因となるが,基本的には図のように理解すると容易である.図は肝性脳症の発現機序をアンモニアと未だ同定されていない肝不全因子(肝で代謝されず,血中,脳中に蓄積する中間代謝物,臨床的には中分子量物質が重要と考えている)の組み合わせにより説明しようとするもので,筆者のように実際に治療によって大半の劇症肝炎例を覚醒させている臨床医が実感している機序である.

肝性腹水の薬物療法

著者: 松嶋喬

ページ範囲:P.677 - P.678

ポイント
1)肝性腹水は低アルブミン血症,尿細管でのNa,水の再吸収亢進,門脈圧亢進によって発症する.
2)肝性腹水の薬物療法は,安静,食事療法で腹水が消失しない例が対象となる.抗アルドステロン剤が第1選択薬であり,なお利尿効果を認めなければ,フロセミド,サイアザイド系利尿剤と併用する.
3)利尿剤に反応せず,低アルブミン血症を認める例には,アルブミンの静注を併用する.
4)以上の肝性腹水に対する治療の経過中に副作用が出現することがあるので,血清電解質,腎機能の定期的チェックが必要である.

食道静脈瘤に対するバソプレシンの止血効果とβブロッカーの出血予防効果

著者: 六倉俊哉

ページ範囲:P.680 - P.681

ポイント
1)食道静脈瘤破裂の際には,門脈圧を低下させ,一時止血を図る目的でバソプレシンの持続点滴が行われる.
2)バソプレシン投与中に,狭心症,心室性不整脈,腸管虚血による腹痛などを生じることがあり,動脈硬化性疾患の疑われる患者には慎重に投与しなければならない.
3)ニトログリセリンの持続点滴を併用すると,効果の面では差がなく,副作用を減じることができる.
4)数日間のうちに漸減中止するので,この間に硬化療法などの静脈瘤に対する直接的な治療を計画しなければならない.
5)食道静脈瘤からの出血を予防する目的で,βブロッカーが投与される.
6)βブロッカーは,脈拍数が25%減少するように,投与量を調節する.
7)徐脈性不整脈,うっ血性心不全,気管支喘息の患者には禁忌であり,糖尿病の患者には慎重に投与しなければならない.

胆道系疾患

経口胆石溶解剤の使い方

著者: 田中直見

ページ範囲:P.682 - P.683

ポイント
1)経口胆石溶解剤の適応はコレステロール胆石のみである.
2)胆石の質的診断を正しく行い,適応となる胆石のみに行う.
3)溶解剤は毎日必ず服用させ,忘れた場合は就寝前に1日分を必ず服用させる.

急性胆嚢炎,胆管炎における抗生物質の使い方とその限界

著者: 伊藤慎芳

ページ範囲:P.686 - P.688

ポイント
1)胆道感染症では,抗生剤の投与と同時に胆汁うっ滞の解除が重要である.
2)起炎菌および胆汁移行と抗菌力の点から,セフェム系,ペニシリン系,モノバクタム系などの薬剤を選択する.
3)胆汁うっ滞により,抗生剤の胆汁移行は悪化する.また,腸管循環が絶たれた胆汁外瘻状態が長く続くと,胆汁移行が悪化する場合があるので,注意が必要である.

膵疾患

急性膵炎の薬物療法—その効果と限界

著者: 北川元二 ,   早川哲夫 ,   近藤孝晴 ,   柴田時宗

ページ範囲:P.689 - P.692

ポイント
1)急性膵炎は原則的には内科的保存療法が適応となる.
2)発症時あるいは入院時には重症化の予測,重篤な合併症の確認が困難であるので,重症急性膵炎に準じて治療を開始し,臨床経過,画像診断の結果をふまえ,病態に即した薬物療法を行う.

慢性膵炎の薬物療法

著者: 杉山恵一 ,   中野哲

ページ範囲:P.694 - P.696

ポイント
慢性膵炎代償期の治療
1)疼痛の軽減・除去:抗コリン剤,Oddi筋弛緩剤,中枢性鎮痛剤,麻薬,消炎鎮痛剤,向精神薬(精神安定剤,抗うつ剤)
2)膵液・胃液分泌の抑制:制酸剤,粘膜局所麻酔剤,消化酵素剤,H2受容体拮抗剤
3)膵酵素逸脱に対する治療:各種蛋白分解酵素阻害剤の使用
4)感染・合併症の予防:抗生物質の投与慢性膵炎非代償期の治療1)膵外分泌低下による消化吸収不良に対する治療:消化酵素剤,ビタミン剤,経腸栄養剤
2)糖尿病に対する治療:インスリン療法その他の薬物療法
膵石溶解療法,セクレチン療法,CCK受容体拮抗剤など

消化器検査のための薬の使い方

上部消化管造影,食道・胃・十二指腸内視鏡検査のための前投薬の使い方

著者: 杉野吉則

ページ範囲:P.698 - P.699

ポイント
1)X線検査:ブスコパンRを検査約5分前に,1筒筋注(精密検査では2筒).
2)内視鏡検査:ブスコパン®(1/2〜1筒〉とソセゴン®(1/4〜1筒)を検査約5分前に筋注.直前に,キシロカインな・ビスカスで咽頭麻酔を行う.
3)前投薬は,あくまでも検査を補助するものであり,無理な投与は控える.検査技術に習熟し患者との信頼関係をもつことのほうが,よい検査をするためには大切である.
4)X線や内視鏡の診断能を向上させるためには,前処置が今後の課題と思われる.

注腸X線検査,大腸内視鏡検査のための前処置と前投薬の使い方

著者: 多田正大

ページ範囲:P.700 - P.702

ポイント
1)注腸X線検査の前処置として,低残渣,低脂肪の食餌制限と,塩類下剤,接触性下剤の投与を行う前処置法・Brown法が一般的である.
2)大腸内視鏡検査の前処置として,最近,硫酸ナトリウムとポリエチレングリコールを主成分とした非吸収性・非分泌性の腸管洗浄液(PEG-ELS)を用いた方法が普及している.
3)マグコロール希釈法でも,同様の優れた腸管清浄効果が得られる.
4)前投薬として抗コリン剤の筋注を行う.内視鏡検査の際,苦痛を伴うことが予想される場合には鎮静剤の静注を行う.

ヨード系造影剤の使い方,副作用とその対策

著者: 木村文子 ,   磯部義憲 ,   上野恵子

ページ範囲:P.704 - P.705

ポイント
1)水溶性ヨード造影剤はイオン性と非イオン性に大別される.
2)造影剤の副作用は,非特異体質反応と特異体質反応とに区分され,重篤な副作用は後者によるものが多い.
3)非イオン性造影剤の出現により,副作用の頻度は著明に減少した.
4)特異体質反応による重篤な副作用に対しては,大量輸液,エピネフリン,副腎皮質ホルモンなどの投与を,vasovagal refiexによる症状には硫酸アトロピンの静注を施行する.

消化器薬のMinimum Requirement

消化器薬のMinimum Requirement

著者: 上野文昭

ページ範囲:P.706 - P.708

ポイント
1)薬物治療は内科的治療の一手段にすぎない.
2)10種類程度の消化器薬に精通していれば,消化器疾患・症状の多くは診療可能となる.
3)消化器診療に最小限必要な薬剤は絶対的なものではなく,個々の診療に応じたindividualizationが必要である.

Q&A

Q1 腹痛の対症療法をしてはいけない場合を教えてください

著者: 大貫寿衛

ページ範囲:P.573 - P.573

A 鎮痛剤・鎮痙剤ともに腸管の麻痺を増悪させますから,麻痺性イレウスのときには対症療法(鎮痛)は好ましくないと考えられます.また重症の潰瘍性大腸炎でも不用意な投薬は中毒性巨大結腸を起こすことがあり,注意深く観察しながら対症療法を行うべきです.
 急性腹症は一般に「対症療法より,早く外科に送るように」とされており,鎮痛にこだわりすぎて外科に送るのが遅れてはいけませんし,また昔から言われている「鎮痛剤を投与すると筋性防御が判りにくくなる」ということもあります.しかし例えば超音波検査が可能な場合は,一旦痛みを軽減させたほうがプローブで腹部を圧迫したときに苦痛が少なく,「検査を順調に行うことができる」のですから,対症療法は絶対によくないなどと言わずに柔軟な考え方でその時々の状況を判断して下さい.

Q2 妊娠時の嘔気・嘔吐の治療でとくに注意しなければならないことはありますか?

著者: 相澤信行

ページ範囲:P.580 - P.580

A 嘔気・嘔吐の症状は,肝炎,腎不全,胃炎や胃癌または妊娠に偶然合併したほかの疾患のことがあり,まずこれらを,病歴,身体所見,必要に応じて血液検査,腹部超音波検査で否定しておくことが必要です.
 妊娠時の薬剤使用にあたっては,常に催奇形性があるかどうかを第1に考えます.薬剤である以上,催奇形性が絶対にないとは言い切れません.したがって,妊娠時とくに妊娠初期の妊娠悪阻では妊婦さんの90%以上にくる症状であり,胎児が育っている証拠であり,胎児のことを考えると,できるだけ薬剤は使用しないほうがよいということを十分説明することが大切です.嘔気・嘔吐の治療に,どうしても薬剤を使用しなければならないときにはメトクロプラミド(プリンペラン®経口30mg,分3)を使用します.ドンペリドン(ナウゼリン®は使用してはいけません.

Q3 「腹部不定愁訴」の簡単な定義を教えてください

著者: 宮原透

ページ範囲:P.583 - P.583

A 腹部不定愁訴の明確な定義は定まっていない.阿部らが唱えた不定愁訴症候群のうち,消化器型の不定愁訴症候群として捉えるのが比較的妥当であると考えられる.不定愁訴(unidentified complaints)の定義としては,「訴えられる症状に見合うだけの器質的病変を見出し得ない,多彩で易動性の症状」とされている.その臨床的な特徴として筒井は,①主観的訴えである,②愁訴が多彩である,③他覚的所見に比し,不相応に自覚症状が強い,④愁訴の質的変化や数的変化がみられやすい(症候移動),を挙げ,愁訴を説明する生理学的基盤として自律神経失調が存在すると述べている.

Q4 アカラシアや食道痙攣などの薬物療法はどの程度効果的ですか?

著者: 本郷道夫

ページ範囲:P.592 - P.592

A アカラシアに対してニフェジピン(アダラート®)10mgまたは20mgを食前10〜30分前に舌下投与(ソフトカプセルの中の油状の中身を絞り出して使用)するのが一般的です.嚥下障害,夜間咳嗽の改善および体重増加が認められます.しかし,バリウムやRIで標識した水の通過状態を15分間にわたって観察しても,通過障害の改善の程度は軽度にとどまります.これは,食道体部の平滑筋の緊張が低下していることが関係しているのかも知れません.症状の改善は,15分のスケールで観察できない通過障害の改善のためだと考えます.根治的に作用する薬剤ではないので長期使用が必要となりますが,症状の進行も考えられるので,強制拡張や手術までの間の治療として,あるいは高齢者への治療として行うべきでしょう.
 食道痙攣は食道の不規則な収縮によるものであり,けっして強い収縮とは限りません.したがって,Ca拮抗剤の効果は疑問があります.薬物による治療には限界があると考えます.

Q5 過敏性腸症候群の診断基準について簡単に教えてください

著者: 佐々木大輔

ページ範囲:P.595 - P.595

A IBSの診断基準で世界的に合意を得ているものはなく,いくつかが提唱されている.しかし,どの診断基準でも,IBSは下部消化器症状を有することと,器質的疾患を除外することでは意見の一致をみている.欧米で広く用いられているのはManningの診断基準である.Manningの診断基準はIBSと器質的疾患,およびIBSとIBS以外の消化器疾患との判別ではともに感度が低く,特異度が高い.本基準は日本人に多い乳糖不耐症が含まれてしまうことなどから,本邦ではNIHの診断基準に準じたものが多く用いられている.NIHの診断基準の感度,特異度の検討はなされていない.

Q6 抗潰瘍薬を何種類か同時に用いると,その分効き目がよくなりますか?

著者: 岡崎幸紀

ページ範囲:P.599 - P.599

A 潰瘍そのものを治すためには,H2-blockerに代表されるように,単剤で十分に可能である.しかし,抗潰瘍剤の併用,とくにH2-blockerと防御因子増強剤の併用は,すでに臨床試験でも検討されており,とくに崎田らのデータでは併用投与が有意に治癒率の高いことを示している.3剤以上の併用療法については臨床試験での検討はなく,筆者らの経験では2剤併用との差異は認めていない.防御因子増強剤には各種の抗潰瘍作用があり,理想的には異なる作用のあるすべての薬剤の併用が望ましいが,非現実的である.潰瘍を有する胃の病態と背景因子を検討し,効果的な1〜2の防御因子増強剤を酸分泌抑制剤に併用すべきである.この考え方は,再発予防のための維持療法に際しても同様であり,とくに酸分泌抑制剤単独投与よりも防御因子増強剤の併用が明らかに再発を抑制していることは,臨床試験でも明らかにされている.ただし,維持療法についても3剤以上の併用については検討されていないし,長期投与となるため薬剤は少ないほどよいと考えている.

Q7 何種類かあるH2ブロッカーの状況に応じた使い分けは必要ですか?

著者: 谷礼夫

ページ範囲:P.603 - P.603

A わが国では現在5種類のH2プロッカーが市販されており,単位重量あたりの酸分泌抑制力はそれぞれ異なります,しかしいずれも臨床薬理学的に副作用の心配なく十分な酸分泌抑制効果をもたらす量から1日の投与量が決定されていますので,治療効果はほぼ同じです.したがって,治療効果という点からは使い分けの必要はありません.すべての種類についていえることですが,慢性腎不全や慢性肝障害などの重篤な合併症のある症例や高齢者では代謝が遅く副作用が出やすいので,投与量を少なくするなどの注意が必要です.cimetidine(タガメット®)は肝臓の薬物代謝系酵素との関係からpropranolol,diazepam,warfarin,theophyllineなどの効果を増強する可能性のあることが知られており,これらの薬物との併用の際には注意が必要です.“H2プロッカー抵抗性潰瘍”で,H2プロッカーの種類を変えるとよいという報告もありますが,定見は得られていません.試みてみるのもよいでしょう.

Q8 消化性潰瘍の治療に粘膜防御因子増強剤を単独で用いることもありますか?

著者: 寺野彰

ページ範囲:P.609 - P.609

A 防御因子増強剤は副作用も少なく,一般的には非常に使いやすい薬剤である.しかし一方,その抗潰瘍作用はH2プロッカー,オメプラゾールなどには及ばず,原則としては,これらの攻撃因子抑制剤との併用薬として用いるべきである.
 しかし,以下のような場合には防御因子増強剤の単独療法が用いられる.

Q9 消化性潰瘍の維持療法を続けるのと手術をするのと,どちらが経済的ですか?

著者: 安海義曜

ページ範囲:P.614 - P.614

A 消化性潰瘍の長期経過において,維持療法を続けるのと手術をするのとの出費について疑問がもたれるのも当然である.しかし,現時点において維持療法の継続期間・対象症例についての明確な答がなく,はなはだ難問といえる.消化性潰瘍に対する薬剤費は年々増加しているのも事実であり,経済的な損得は個人および社会的なものの2つを考えねばならない.白川らは,年間の医療費について外科的治療約201万円,内科的治療(一定期間H2-B剤を含めた抗潰瘍薬を継続投与して再発が防止できる場合)約27万円が必要で,維持療法を含めた内科的治療のほうがcost benefitの面から意義があると述べている.しかし,半永久的に維持療法を続けた場合,内科的治療のほうが総支出額は大きくなる可能性もあるが,H2-B剤の導入により消化性潰瘍は寛解・維持期ともに外来治療が主体となり,出血および手術による死亡率の減少などによる患者・家族および企業の社会的経済損失を激減させた意義は大きく評価されるべきと思う.

Q10 感冒薬や鎮痛剤を処方するとき,ルーチンで胃薬も処方すべきですか?

著者: 井上正規

ページ範囲:P.626 - P.626

A 感冒薬や鎮痛剤の服用により胃腸障害を起こしやすいことはよく知られている.これら薬剤に起因する胃疾患は,臨床的には急性胃粘膜病変(AGML)として捉えられ,ストレスに次いでその頻度は多い.
 薬剤中でも解熱,鎮痛および消炎剤は消化管出血や消化性潰瘍を起こしやすいとされる.中でもサリチル酸などのアスピリン,インドール酢酸系のインドメタシンなどは非ステロイド系抗炎症剤(NSAID)として位置づけられ,胃粘膜障害の成因として胃粘膜内のシクロオキシゲナーゼの活性を阻害することにより,胃粘膜の防御機構である胃粘膜関門,粘液関門および血流などの破綻をきたし,胃病変を発生させると考えられている.

Q11 潰瘍性大腸炎とクローン病の薬物療法の違いについて教えてください

著者: 朝倉均

ページ範囲:P.635 - P.635

A 潰瘍性大腸炎とクローン病に,サラゾピリン®,ステロイド,免疫抑制剤,メトロニダゾールが同様に用いられますが,これらは炎症の場の単球,リンパ球,血管内皮から産生されるサイトカイン,PG,ロイコトリエン,PAFなどの炎症惹起物質の産生を抑え,腸壁内微小循環異常を是正します.その意味から考えると,薬物療法に違いはありません.潰瘍性大腸炎の炎症は慢性の中にも好中球浸潤という急性炎症も加味されるので,多めの薬物で急性期を乗り切ることが大事です.一方,クローン病は単球マクロファージとCD4リンパ球の活性化が消化管内抗原の持続的刺激で起こり,びらんのみならず,潰瘍,炎症性ポリープおよび線維化が起こるので,消化管の安静を長期にわたって保っため成分栄養か薬物による非活性化が必要です.このため,ステロイド剤や免疫抑制剤の少し多めの長期投与が必要となってきます.また,非活動期の薬物療法が長期にみて重要となってきます.

Q12 ステロイド浣腸はどのようなときをに適応となりますか?

著者: 馬場忠雄

ページ範囲:P.639 - P.639

A ステロイド(SH)注腸は,潰瘍性大腸炎の軽症から中等症において適応となる.SH注腸によりSHは腸から一部吸収され,全身性に作用するが,副作用は少なく,SHの局所粘膜に対する直接作用もあるので,とくに直腸・S状結腸型から左側大腸型に有用である.微温生食水100mlに水溶性プレドニン(PSL)20mgを溶解し,朝の排便後や就寝前の30分くらい安静に保てる状態で行うと,注腸液の排泄もない.重症例においては,腸からのSHの吸収も悪く排便回数も多くなるので,経口的にPSL40〜60mgを与えたほうが有効である.
 SH注腸を行って10〜14日間に臨床症状(下痢回数,血便,発熱,腹痛)や検査成績(赤沈,CRP)に改善がなければ,ただちにPSL30〜40mg/日の経口投与を併用する.

Q13 サラゾピリンの使い方で難しい点を具体的に教えてください

著者: 北野厚生

ページ範囲:P.643 - P.643

A ①UC活動期症例に対する初回投与量の決定UC全大腸炎型ではSASP 6.0g,左側大腸炎型ではSASP 45g,直腸炎型では3.0gの初回投与量を目安とする.治療効果の判定期間を約4週間とし,その後徐々に減量する.ただ減量は慎重にすることが肝要である.
 ②CDの大腸型でSASP 4.5〜6.0g単独投与により緩解導入が得られない場合大腸型の活動期CDに対する治療法としては,経腸栄養法,SH,SASPを用いる方法がある.大腸型ではSASP単独療法により奏効する場合がある.ただ,SASP単独療法により効果が認められない場合では,イムラン®50〜100mgを併用すれぼ有効性が高くなる.

Q14 感染性腸炎で抗生物質が適応となる場合,ならない場合を教えてください

著者: 森下鉄夫

ページ範囲:P.653 - P.653

A 抗生物質は,一部を除き下痢などの症状・期間を軽減・短縮するために投与される.したがって,重症例や長期間にわたる感染性腸炎では,いずれの腸炎に対しても抗生物質が投与される.腸チフス,パラチフス,細菌れ生赤痢,コレラ,Clostridiumによる偽膜性腸炎,アメーバ赤痢,ジアルジア症には化学療法が必要である.偽膜性腸炎とジアルジア症を除きこれらは法定伝染病であり,完全除菌が社会復帰の条件となっているものもある.サルモネラ腸炎やキャンピロバクター腸炎,Staphylococcus aureus,Clostridium Peifringensなどの毒素型細菌性食中毒,Vibrio Parahemolyticusによる感染型細菌性食中毒・腸炎には,食品取り扱い者や保母さんを除いて,原則として抗生物質は投与されない.しかし,サルモネラ腸炎はときに腎不全を伴うため,キャンピロバクター腸炎では微量な菌による2次感染もときにみられ,妊婦では流産・死産,新生児髄膜炎の危険もあるので,抗生物質を使用することもある.

Q15 ウイルス肝炎に対する薬物療法の基本的な考え方のこの10年程の変化を教えてください

著者: 渡辺明治 ,   土田敏博

ページ範囲:P.660 - P.660

A この10年の間に,A型,B型およびC型肝炎ウイルスによる肝炎の病態の解明が進み,日常診療面でも各種ウイルスマーカーの検索が容易になった.それに伴い,肝炎の治療効果の判定がウイルスマーカーの変化によって行われるようになり,ウイルスの排除を目標とした治療法が肝炎治療の主体となってきた.したがって,現在では,慢性肝炎に対してIFNやAra-Aなど抗ウイルス剤による治療やステロイド離脱療法などの免疫調節療法が一般的に行われている.しかし,抗ウイルス剤の効果は必ずしも十分ではなく,投与法の改善や他の薬剤との併用が試みられている.一方,この間,一般薬物(肝臓作用薬)も二重盲検試験による薬効解析がなされ,慢性肝炎の薬物治療の1つとして位置づけられてきた.今後,個々の症例の肝病態,経過,日常生活(QOL)や背景因子に応じたこれら薬剤の選択がより重要になってくるものと思われる.

Q16 抗ウイルス療法の効果がとくに期待できそうなsubgroupがあれば教えてください

著者: 小俣政男

ページ範囲:P.664 - P.664

A 抗ウイルス療法の効果がとくに期待できそうなSubgroupは,1)HBe抗原陽性者で年齢が30歳台前半までで,トランスアミナーゼが異常値を示す症例で,ステロイドとインターフェロンの併用療法が有効,ことに肝機能の改善は著明.一方,40歳以降のB型肝炎治療は,たとえHBe抗原が陰性化しても,しばしば肝病態は変わらない.変異B型肝炎ウイルス(Pre-C Mutant)の残存による可能性がでてきた.
 2)C型肝炎では,感染時期に近ければ近いほど著効例が多い.輸血から5年以内であれば,80%程度治癒しうる.感染からの時間が10年以上と推定される症例には,長期(半年から1年)のインターフェロン治療が必要.

Q17 慢性胆汁うっ滞で吸収が障害される栄養素とその補給法を教えてください

著者: 戸田剛太郎

ページ範囲:P.672 - P.672

A 慢性肝内胆汁うっ滞では,腸管内の胆汁酸の欠乏のために脂肪および脂溶性ビタミンの吸収が障害されることがある.その結果,脂肪便,ビタミンA,D,E,Kの欠乏症が起きてくる.また,脂肪便はカルシウムの吸収障害をひき起こし,カルシウムの補給が必要になる.脂肪便については脂肪の摂取を減らすこと(40g/日以下)で対処する.必須脂肪酸はmedium-chain triglycerideの形で補給する.脂溶性ビタミンについては,ビタミンA,Dの場合,安易に補給すると,ビタミン過剰症をきたす恐れがあり,予防的投与については慎重でなくてはならない.補給は必ずしも非経口投与である必要はない.ビタミンEについては過剰による障害は少ないとされている.原発性胆汁性肝硬変ではビタミンE吸収障害が報告されているが,欠乏症の頻度は少ない.ビタミンKは,非経口投与によるもの以外利用されにくい.プロトロンビン時間延長のある場合に補給する.

Q18 肝性腹水に対するアルブミンの適正な使用法を教えてください

著者: 松嶋喬

ページ範囲:P.679 - P.679

A 安静とNa制限および利尿剤の投与によっても,利尿効果を認めず,血清アルブミンが3.0g/dl未満の肝性腹水に対しては,アルブミン製剤の点滴静注を行う.アルブミンの補給により膠質浸透圧が上昇すると有効循環血漿量が増加し,レニン・アンギオテンシン・アルドステロン系が抑制されて利尿効果が認められる.アルブミンの1日投与量は10〜15gとし,血清アルブミン3.0g/dl以上の値が維持されたら中止する.
 また,難治性の腹水に対しては,フロセミドとアルブミン製剤とを併用すると,フロセミドの副作用が少なく,利尿効果が増強することがある.なお,高度の腹水に対する腹水穿刺による大量の排液は,有効循環血漿量の低下,血漿レニン,アルドステロンの上昇,低Na血症,尿素窒素,クレアチニンの上昇を認めるため禁忌であるが,アルブミン製剤を投与すると腹水穿刺による大量の排液に伴うこれらの異常が認められないことが報告されており,難治性腹水に対するアルブミン製剤の適応につき検討の余地が残されている.

Q19 経口胆石溶解剤はどれぐらい長期間続けなければならないのですか?

著者: 田中直見

ページ範囲:P.684 - P.684

A 胆石溶解剤による溶解効果は大変ゆっくりしており,小胆石では半年位で消失する例もありますが,大体2年はかかると考えられています.また,最初適応と考えられて胆石溶解剤を服用しても,治療効果のあがらない胆石もたくさんあります.それゆえ,胆石溶解剤を最低6カ月きちんと服用し,縮小効果を超音波検査で判定してもらって,溶解したものについては再発予防対策を,胆石が縮小減少したものについては服用を続け,まったく変化なかったときには,あと6カ月間治療を継続するか,他の治療法に切り替えてもらうのがよいでしょう.

Q20 急性膵炎の重症度により薬物療法は異なりますか?

著者: 北川元二

ページ範囲:P.692 - P.692

A 軽症の膵炎は2,3日の絶食と補液のみで軽快する比較的予後良好な疾患である.しかし,一旦重症化すると重篤な合併症をひき起こし,約30%の高い致命率をもっ疾患である.したがって病初期の重症化の判定が重要であるが,発症時あるいは入院時には重症化の予測,重篤な合併症の確認は困難であるので,血中膵酵素の上昇を伴う腹痛の患者に対しては,まず絶食にして補液を開始し,抗トリプシン剤の常用量を投与する.その後,臨床経過と画像診断により重症度の判定を行い,軽症と判定した場合には胃管の留置,H2ブロッカー,抗生剤の投与はあまり必要なく,中等症では症状に応じてこれらを行う.重症化の兆候がみられた場合にはICUに収容し,厳重な循環・呼吸管理の下に,抗トリプシン剤の大量療法,強力な抗生剤治療を行う.

カラーグラフ 冠動脈造影所見と組織像の対比・26

胃大網動脈を使用した冠動脈バイパス手術

著者: 堀江俊伸

ページ範囲:P.710 - P.712

●胃大網動脈グラフトを用いた冠動脈バイパス手術
 内胸動脈(internal thoracic artery;ITA)をグラフトとして使用した例では,10年を経過してもその80%以上が良好に開存し,静脈グラフトに比較して長期生存率が高くなり,再手術率も減少することが報告されている.しかし,内胸動脈は左右2本しかなく,多数のバイパスを動脈系グラフトのみで行うためには新たな動脈グラフトの開発が必要であった.
 須磨らは胃大網動脈(Gastroepiploic artery;GEA)が冠動脈バイパスに適していることを見いだし,臨床例に応用した1).近年,本邦でも多くの施設でGEAを用いた手術が行われている.

Oncology Round・16

Meigs症候群を呈した卵巣莢膜細胞腫

著者: 菅三知雄 ,   片山勲

ページ範囲:P.721 - P.724

 卵巣腫瘍とくに線維腫に胸水および腹水を合併し,その摘出後に胸腹水の速やかな消失をみる場合は,周知のようにMeigs症候群と呼ばれている.本症候群は,胸水貯留による呼吸器症状を呈しやすいため,初期には結核性胸膜炎として内科的に治療を受けていることも意外に多く,一方また,手術不能の悪性例と誤診されることもあるので,鑑別診断の際にその可能性を想起することはきわめて大切である.今回は,閉経期婦人に発生した卵巣莢膜細胞腫が本症候群を合併した症例を提示する.

グラフ 内科医のための胸部X-P読影のポイント・1【新連載】

胸部X-P読影の基本

著者: 泉孝英

ページ範囲:P.725 - P.730

 胸部X-Pの正確な読影は,呼吸器疾患の診断にとってきわめて大切なことである.しかし,いうまでもないことであるが,X-P所見だけで診断がつくわけではない.呼吸器疾患の最終診断は,臨床所見に加えて,微生物学的検査所見,免疫血清学的所見,細胞診を含む病理学的所見によるものであり,胸部X-P所見を含め,いわゆる画像所見は直接の診断根拠になるものではない.
 他の臓器と同様,呼吸器疾患の診断において,第1に重要な所見は臨床所見である.愁訴,理学的所見からどのような疾患の可能性が高いかをまず考えなければならない.そして,確定診断へと検索を進めるにあたって胸部X-P所見は,病変部位・病変の性状解明への大きな方向づけを与えるものである.また,過去における正確な診断の与えられた症例のX-P所見についての集約された成績がある場合には,微生物学的検査所見,免疫血清学的所見,あるいは病理学的所見による診断を支持する補強的所見となる.しかし,胸部X-Pが,どのように非定型的所見であっても,微生物学的検査所見,免疫血清学的所見,あるいは病理学的所見を基礎として確定された病名を否定する根拠にはならない.

演習

目でみるトレーニング

ページ範囲:P.714 - P.719

講座 図解病態のしくみ 膠原病・7

シェグレン症候群

著者: 杉本正毅 ,   廣瀬俊一

ページ範囲:P.732 - P.738

 シェグレン症候群(以下SjS)は1933年スウェーデンの眼科医Henrik Sjögrenが口腔および眼の著明な乾燥感を伴った関節炎患者を記載した1)ことに始まる.彼は乾燥性角結膜炎(keratoconjunctivitis sicca,以下KCS)の病理学的研究を進めていくうちに,これらの変化が単に眼だけでなく唾液腺にも及んでいることを見いだし,KCSが全身疾患であると考えるに至った.1960年以降,NIH groupを中心にSjSの研究が活発に進められ,Sjsの概念もさまざまに変化してきた.当初は慢性関節リウマチ(RA)の亜型的存在と考えられていたが,他の膠原病にもしぼしぼ合併することが明らかになった.本症は“唾液腺,涙腺へのリンパ球,形質細胞の浸潤と破壊を特徴とし,その結果,dry mouth(xerostomia),dry eye(xerophthalmia)という特徴的な乾燥症状を生ずる疾患で,リウマトイド因子(以下RF)をはじめ各種自己抗体を産生する慢性全身性自己免疫疾患である”と考えられ,Talalらは本症に対しautoimmune exocrinopathyという呼称を提唱している.本稿ではSjsの概念の変遷に触れながら,今日明らかにされている病態,診断をめぐる問題点などについて述べてみたい.

血液疾患診療メモ

原因不明熱(FUO)と血液疾患

著者: 岡田定

ページ範囲:P.740 - P.742

 発熱は日常診療で遭遇することがもっとも多い症状のひとつである.原因不明の発熱が長期間続き,患者に苦痛と不安を与え,医師にとって診断が難問になることがある.原因不明熱(Fever of Unknown Origin;FUO)は,Petersdorfらにより,表1のような診断基準が示されている.この基準により,ウイルス感染などの急性感染症や原因疾患の診断が容易な例は除外される.
 この基準が示された30年前と同様,医療技術の進歩した今日でも,FUOの3大原因疾患は,1)感染症,2)悪性腫瘍,3)膠原病であり,この3者でFUO全体の2/3を占める(表2).

基本情報

medicina

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN 1882-1189

印刷版ISSN 0025-7699

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55巻2号(2018年2月発行)

特集 —デキる内科医の—神経内科コンサルト

55巻1号(2018年1月発行)

特集 気管支喘息・COPD診療に強くなる

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