icon fsr

文献詳細

雑誌文献

medicina28巻4号

1991年04月発行

文献概要

Q&A

Q9 消化性潰瘍の維持療法を続けるのと手術をするのと,どちらが経済的ですか?

著者: 安海義曜1

所属機関: 1北里大学・内科

ページ範囲:P.614 - P.614

文献購入ページに移動
A 消化性潰瘍の長期経過において,維持療法を続けるのと手術をするのとの出費について疑問がもたれるのも当然である.しかし,現時点において維持療法の継続期間・対象症例についての明確な答がなく,はなはだ難問といえる.消化性潰瘍に対する薬剤費は年々増加しているのも事実であり,経済的な損得は個人および社会的なものの2つを考えねばならない.白川らは,年間の医療費について外科的治療約201万円,内科的治療(一定期間H2-B剤を含めた抗潰瘍薬を継続投与して再発が防止できる場合)約27万円が必要で,維持療法を含めた内科的治療のほうがcost benefitの面から意義があると述べている.しかし,半永久的に維持療法を続けた場合,内科的治療のほうが総支出額は大きくなる可能性もあるが,H2-B剤の導入により消化性潰瘍は寛解・維持期ともに外来治療が主体となり,出血および手術による死亡率の減少などによる患者・家族および企業の社会的経済損失を激減させた意義は大きく評価されるべきと思う.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1189

印刷版ISSN:0025-7699

雑誌購入ページに移動
icon up
あなたは医療従事者ですか?