medicina28巻7号

1991年07月発行

今月の主題 リンパ系疾患の臨床 リンパ系疾患の基礎

リンパ球の産生と分布

著者： 三方淳男¹ 田丸淳一¹

所属機関： ¹千葉大学医学部・第1病理

ページ範囲：P.1132 - P.1133

　リンパ球のT，B2系統の分立は，1961年Millerの新生児マウスの胸腺摘出実験に端を発している．マウス，ラット，ウサギなどの胸腺を新生児期に摘出すると，成体となって細胞性免疫能の低下をきたす．一方，生後まもないニワトリ雛からファブリキウス嚢を摘出すると，液性免疫能の低下をもたらす．これらの実験結果に相当するヒトの先天性免疫不全症としては，DiGeorge症候群およびBruton型無γグロブリン血症がある．このような実験，臨床的事実に基づいて，リンパ球は，その由来・機能に従って，胸腺（Thymus）依存リンパ球と，嚢（Bursa）相当器官依存リンパ球の2系統に分けられるようになった．