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文献詳細

雑誌文献

medicina29巻2号

1992年02月発行

文献概要

カラーグラフ Oncology Round・21

乳糜胸腹水を伴ったKrukenberg腫瘍

著者: 菅三知雄1 高野敦2 伊原勝雄3 片山勲4

所属機関: 1青森県立中央病院・病理 2青森厚生病院・産婦人科 3青森労災病院・検査科 4埼玉医科大学・第1病理

ページ範囲:P.333 - P.336

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 近年,エポニム(人名を冠した術語)の使用は,特定の場合以外には慎むべきものとされている.たとえば子宮頸癌の摘出術標本の病理検索で一側の卵巣に転移巣を認めた場合には,Krukenberg腫瘍とは呼ばずに単に子宮頸癌の卵巣転移とするほうが正しい.Krukenberg腫瘍という診断名が相応しいのは,主として胃癌の転移により両側卵巣が著しく腫脹した場合である.
 興味深いことに,Krukenberg腫瘍の患者の多くは30歳代の若年婦人であり,原発巣はそのつもりで探求しても簡単には発見し得ない程度の小病巣のことが多く,しかも両側卵巣とともに原発巣を切除したあとは,癌の根治手術と同様な数年間の寛解を得ることがある.卵巣腫瘍という術前診断で試験開腹が行われた場合,約6%の頻度でKrukenberg腫瘍に遭遇するといわれている.今回はこのKrukenberg腫瘍というエポニムが相応しい症例を提示しよう.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1189

印刷版ISSN:0025-7699

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