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臨床医のための分子生物学・2
「メンデルの豆」の分子生物学
著者: 長野敬1
所属機関: 1自治医科大学・生物学教室
ページ範囲:P.512 - P.517
文献購入ページに移動現代の研究の流れは,遺伝子に向かってとうとうと集まりつつある.流れが集まりすぎて,洪水でも起こしそうな現状の一端については,前回にも紹介した.
一世紀半の昔には,遺伝理論の流れはまだ地下の伏流水にすぎなかった.この地下水に実験データの錫杖をつき立てて,認識の明るみに導いた「遺伝学の弘法大師」は誰かといえば,もちろんそれはメンデル(Johann Gregor Mendel,1822-84).そしてメンデルといえばエンドウ豆.彼が実験結果をブリュン地方のささやかな学会で,2回にわたって発表したのは1865年で,活字にまとめて論文としたのは翌年(1866)だった(図1).
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