medicina29巻5号

1992年05月発行

今月の主題 よくわかる水・電解質と酸塩基平衡

水・電解質異常の診断から治療まで

高K血症と低K血症

著者： 高橋進¹ 山内立行¹

所属機関： ¹日本大学医学部・第2内科

ページ範囲：P.789 - P.793

文献概要

　カリウム（K）は，健常人において，体内に約50mEq/kg・体重存在するが，その大部分（98％）が細胞内に分布し，細胞外液とくに血漿に存在するKはわずか1％にすぎない．つまりKは細胞内の主要な陽イオンであり，細胞内濃度は約150mEq/Lと細胞外液濃度（3.6〜5.0mEq/L）に比較し著しく高い．この著しい細胞内外K濃度勾配は主にNa-K依存性ATPaseのNa-K交換ポンプ作用によって維持されている．
　一方，生体内外のK出納については，通常50〜100mEq/日のKが摂取されて小腸粘膜から主に受動的に吸収され，その90％が腎から，10％が腸管より排泄され，健常人ではほとんど常に一定のバランスが保持されている．