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文献概要
カラーグラフ 電子内視鏡による大腸疾患の診断・5
粘膜脱症候群
著者: 多田正大1
所属機関: 1京都第一赤十字病院・第2内科
ページ範囲:P.909 - P.912
文献購入ページに移動粘膜脱症候群は直腸に好発するものであるが,その概念は歴史的にみていろいろと変遷をとげてきた.直腸にみられる非特異性潰瘍について,Cruveilhier(1829年)の記述が嚆矢であるとされているが,今日までさまざまな名称で報告されてきた1).なかでも孤立性直腸潰瘍(solitary ulcer of the rectum)や深在嚢胞性大腸炎(colitis cystica profunda)として整理されてきた経緯がある.
しかし本症には潰瘍性病変のみならず,隆起性病変を呈する場合もあり,過去に呼ばれてきた名称が必ずしも適切ではなくなってきている.そこでdu Boulay2)は本症が脱肛が原因となって生じることから,粘膜脱症候群(mucosal prolapus syndrome)の概念で呼称することを提言したが,その考え方が今日では支持されている.
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