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今月の主題 胸部X線からの肺疾患の診断と治療 びまん性肺病変
びまん性肺出血とGoodpasture症候群
著者: 松井祐佐公1 木野稔也1
所属機関: 1京都大学胸部疾患研究所・第2内科
ページ範囲:P.1435 - P.1439
文献購入ページに移動1)びまん性肺出血の臨床症状,胸部X線所見は病因とは関係なく類似している.
2)喀血は大量からない例まであり,肺出血の程度の指標としては信頼性が乏しい.
3)胸部X線所見はびまん性肺胞性陰影,肺胞・間質性陰影の混在,間質性陰影から正常まで,出血との時間関係により多彩である.
4)重症度の判定はヘモグロビン(Hb),動脈血ガス分析,胸部X線所見を参考にして行う.
5)診断は3大徴候(喀血,貧血,胸部異常影)で,肺胞出血症候群を疑診する.肺出血は喀疾や,通常,血性である気管支肺胞洗浄液中に,ヘモジデリン含有マクロファージを認めることで確認し,病因決定のため血清抗基底膜抗体の測定と腎生検を行う.
6)治療は肺出血のコントロール,再出血の防止,腎機能の温存を目的とする.ステロイド薬,サイクロフォスファマイド,血漿交換が主たる治療法であり,疑診時より開始する.さらに肺出血の助長増悪因子(喫煙,感染,過剰輸液など)の除去・補正に努める.
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