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文献詳細

雑誌文献

medicina3巻10号

1966年10月発行

文献概要

特集 老人患者を診るとき 診断のポイント

老人の正常値をどう考えるか

著者: 松木駿1

所属機関: 1慶大・内科

ページ範囲:P.1419 - P.1420

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正常値と標準値
 すべての医学的測定値は,それと比較して異常かどうかを決めるために,正常値が必要である。正常値は普通正常人(normal men)から得られた値であるが,正常人をどのような定義で決めるかが問題で,実際には正常と思われる人(probablynormal men)の値ということになる。病気を除外するのにどのような検査を行なつて,またどのような判定基準で正常としたかを考えると,それが真の正常人であつたかどうか自信がなくなつてしまう。病気以外にも経済状態,食事内容,ふとつているかやせているかなどの栄養状態,季節などの影響を受ける可能性のある測定値も少なくないであろう。そうなると正常値(normal value)は現段階で簡単に決めるべきものではなさそうである。しかし実際にはある基準となる値が必要であるから,それを正常値でなくて標準値(standard value)とよぶのはどうであろうか。標準値は1つの"ものさし"と考えれば,よりよいものさしができたらそれに換えてゆこう。従来正常値として報告されているものは標準値として理解して,その値が得られた対象の条件をなるべく詳細に記載しておいてほしい。年齢,性別はもとより病気を除外するための検査法や判定基準,栄養状態,経済状態を想定できるような事柄,できれば材料採取の季節などである。それらを集積すればやがて真の意味の正常値が得られるのではなかろうか。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1189

印刷版ISSN:0025-7699

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