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アメリカ南部の大学に留学して
著者: 飯田喜俊12
所属機関: 1淀川キリスト教病院内科 2大阪市大
ページ範囲:P.1494 - P.1495
文献購入ページに移動私は3年前,アメリカ南部,ジョージア州,アトランタ市のEmory大学,内科(腎臓病科)に留学する機会を得た。毎日が楽しい,なつかしいことばかりであつたがその一端をここに述べてみようと思う。
アトランタ市はジョージア州の州庁の所在地,アメリカ南東部では一番大きい,人口約百万の都市である。ジョージア州といつてもちよつとピンと来ない方もあるかも知れないが,有名なフロリダ州と接し,黒人問題で有名になつたアラバマ州の東に位置しており,以前は綿産業の中心であつた。しかし近年では自動車工業なども盛んになり,発展しつつある州である。人々はいわゆる"Southern hospitality"といつて一般に素朴かつ親切であり,私も常にat homeの気持を持つことができた。アトランタ市はこの州のほぼ中央にある。かの映画や文学でも有名になつた「風と共に去りぬ」はこの市を舞台にして展開されているのであり,かつてはここは南北戦争の中心の一つであつた。ちなみにこの『風と共に去りぬ』の著者,M.ミッチエル女史は約15年前に交通事故で死去したのであるが,その際かつぎこまれ,息をひきとつたのは私のいた病院においてであつた。また有名人といえば,最近黒人でノーベル賞をもらつたマルチン・ルーサー・キング氏はこの市の出身で今もここで牧師をしており,黒人差別反対運動でははなばなしく活躍して一やく有名になつた人である。
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