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文献詳細

雑誌文献

medicina3巻11号

1966年11月発行

文献概要

診断のポイント

いわゆる神経痛といわれるもの

著者: 吉田赳夫1

所属機関: 1福島医大第2内科

ページ範囲:P.1565 - P.1566

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神経痛の考えかた
 神経痛と称して治療をもとめてくるもののなかには,事実は関節痛や筋肉痛のことがしばしばある。これらは論外としても,少なくも関節痛や筋肉痛が,神経の痛みと共存していることが多い。それで,神経痛とは神経の走行に一致して起こる劇烈な痛みであり,発作的に出現し,神経の経路上に圧痛点があり,その他に神経病学的所見がない,などと定義されているような神経痛を考えると戸惑うことになる。
 たとえば,後頭部の痛みを訴えて後頭神経痛と診断されるもののなかに,神経経路上の圧痛点の他の部分にも諸所圧痛のある個所があり,それらの個所で,マッサージの強擦法や柔捏法のごとく圧迫や摩擦,振動すると,かえつて快感を覚えるというものがあり,むしろ筋肉痛が主で,いわゆる緊張性頭痛を考えさせることがある。また,腕神経痛と称してくるもののなかに,実は肩関節周囲炎で,関節運動時に痛みが上肢に放散するものがあつたりする。また,坐骨神経痛といわれるものに後仙腸長靱帯の痛みの関連痛であることがある。つまり,神経痛とはいつても,筋肉痛や,関節痛あるいは靱帯痛のことがある。また一方,いろんな原因で神経痛が起こつても,神経痛だけでとどまることなく,筋肉痛や関節運動痛を伴うようになることが多い。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1189

印刷版ISSN:0025-7699

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