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治療のポイント
菌交代症
著者: 真下啓明1
所属機関: 1北大第二内科
ページ範囲:P.1574 - P.1575
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化学療法剤ないし抗生物質の投与によつて感受性菌の減少ないし消失が起こり,これと形影相伴うごとくその薬剤に対する耐性菌の残存ないし増加が起こる。この状態を菌交代現象(microbismesubstitue)とよぶ。ここまでは化学療法の宿命的な問題であり,必発の現象であるといえる。混合感染巣あるいは常在菌叢部位において増加した耐性菌が,新しく炎症の主役を演じるにいたれば,これは菌交代症(Infektionswechsel)である。実際問題としてはこれが本来存在した菌叢中の弱少勢力であつた弱毒菌であるか,新しく外来性にはいつてきたものであるかはかならずしも決定しえない。つまり,apathogene bzw. fakultative pathogene Symbiontenであればendogene Superinfektionであるかexogene Superinfektionであるか区別しえないこともある。
全身性カンジダ症は一般的に菌交代症として考えられているが,この病態にいたるためには基礎疾患として白血病,がんなどの生体防衛機転の低下をきたす重篤な疾患があり,この因子が大きくはたらいており,抗生物質による役割は菌交代現象までは確実であるが,むしろ生体防衛機転の低下を重視すべきで,この意味では厳密には菌交代症ではないといえる。
化学療法剤ないし抗生物質の投与によつて感受性菌の減少ないし消失が起こり,これと形影相伴うごとくその薬剤に対する耐性菌の残存ないし増加が起こる。この状態を菌交代現象(microbismesubstitue)とよぶ。ここまでは化学療法の宿命的な問題であり,必発の現象であるといえる。混合感染巣あるいは常在菌叢部位において増加した耐性菌が,新しく炎症の主役を演じるにいたれば,これは菌交代症(Infektionswechsel)である。実際問題としてはこれが本来存在した菌叢中の弱少勢力であつた弱毒菌であるか,新しく外来性にはいつてきたものであるかはかならずしも決定しえない。つまり,apathogene bzw. fakultative pathogene Symbiontenであればendogene Superinfektionであるかexogene Superinfektionであるか区別しえないこともある。
全身性カンジダ症は一般的に菌交代症として考えられているが,この病態にいたるためには基礎疾患として白血病,がんなどの生体防衛機転の低下をきたす重篤な疾患があり,この因子が大きくはたらいており,抗生物質による役割は菌交代現象までは確実であるが,むしろ生体防衛機転の低下を重視すべきで,この意味では厳密には菌交代症ではないといえる。
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