icon fsr

文献詳細

雑誌文献

medicina3巻11号

1966年11月発行

文献概要

私の治療体験より

抗アドレナリン剤を用いて行なうショックの治療

著者: 飯田喜俊1

所属機関: 1淀川キリスト教病院内科

ページ範囲:P.1622 - P.1623

文献購入ページに移動
はじめに
 ショックの原因にはいろいろあるが,心筋硬塞はそのうちの大きい原因の一つであり,死亡率の大きいものである。とくに近年,本疾患患者が増加してくるにつれてこれによるショックもまた増加して,しだいに重要な問題となつてきた。しかし,近年各種のすぐれた昇圧物質が登場してくるとともに,これによる治療によつて死亡率も減少してきている。そして一般にショックに対する治療として昇圧物質を用いるというのが常識となつているのであるが,最近になつて一方ではかえつてこれが有害であり,むしろ抗アドレナリン剤を用いるべきであるということがいわれてきた1,2,3)。ちよつと考えるとこれによつて血圧は下降し,それでなくてもショックによつて低血圧状態にあるものをいつそう増悪させるように考えられがちである。しかし実際,ショックにおいては血中カテコールアミン量は相当増加しており,ノルアドレナリン自体がショックをきたすという実験もあつて4),これにさらに昇圧アミンを加えると臓器血管の血行動態に影響をおよぼし,あるいはLilleheiらのいうVisceralfactors2)へ影響をおよぼして,ショック症状をいつそう増悪させるということが考えられるる。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1189

印刷版ISSN:0025-7699

雑誌購入ページに移動
icon up
あなたは医療従事者ですか?