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文献詳細

雑誌文献

medicina3巻4号

1966年04月発行

文献概要

今月の主題

呼吸困難

著者: 長野準1

所属機関: 1九大・胸部疾患研究所

ページ範囲:P.485 - P.489

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呼吸困難とは
 喘息患者があえぐような呼吸をし,生命の恐怖で苦しみながら体力を消耗しているのをみた場合,また心疾患で胸部の疼痛,不安を伴つて息ぎれしている患者をみた場合,われわれはちゆうちよせずにDyspnea,呼吸困難とカルテに記載する。しかし運動選手,登山家が他覚的には,せわしい苦しそうな呼吸をしているとみられても,本人はむしろ快適な興奮状態にあるのであつて,この場合は呼吸困難とはいわない。そこで呼吸困難とはいつたい何であるかと考えてみるのに,はなはだ漠然とした概念しかもちあわせていないことがわかるのである。Cournand,RichardsあるいはComroeなどがこんにちまで呼吸困難について,これを定義しているのを要約すると,生体が必要とする換気量をその個体の呼吸能力によつてたやすく供給できないで苦痛がっている状態といえる。すなわち多少要約しすぎるが,呼吸困難は生体が必要とする換気量breathing requirementと,得られる換気量breathing capacityとがつりあわなくなつた状態といえよう。臨床的に漠然と使つている呼吸困難の概念も,この定義のようにこんにちの肺機能の観点から掘り下げてみると,少しは客観的に解明できるように考えられる。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1189

印刷版ISSN:0025-7699

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