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文献詳細

雑誌文献

medicina3巻4号

1966年04月発行

正常値

血清電解質—カルシウム

著者: 斎藤正行1

所属機関: 1東大臨床化学

ページ範囲:P.562 - P.563

文献概要

年齢差があるか
 血清カルシウムの測定は以前は無機燐,アルカリ性燐酸酵素とともにクル病などの骨疾患の臨床検査におもに用いられ,方法はClark・Collipsのシュウ酸塩として沈澱させ,シュウ酸を過マンガン酸カリで滴定するとか,燐酸カルシウムとして沈澱させ,燐を比色測定するといつた間接的に求める,かなり繁雑な方法であつた。したがつて正常値の成書を見ても例数は少なく,Sundermanの著書には表1のごとき記載程度である。ところがわが国の簑島高篇の正常数値表には実に多彩な報告が載上されてある。これは戦後まもなくのころ,アメリカから疫痢研究団が来日し,疫痢のけいれんをめぐつてこの原因は日本で従来考えられているような毒素によるものではなく,血中のカルシウムイオンの減少による神経の被興奮性の亢進によるテタニーだという学説をおしつけた。そのさい日本で従来用いられている前記の測定法は,手技上の誤差が大きく信用おけないとして,Sobelのシュウ酸塩として沈澱後灰化,生じた炭酸または酸化カルシウムをヨード法で滴定する方式をすすめた。これが多くの人々の追試・報告となつて当然随伴して正常値も報告されたのである。これらのおもな1,2を表2としたが,従来の成書にある「乳幼児は成人より高値を示す」という傾向がはつきりみられない。わが国では母乳栄養児が多いためであろうか? 欧米の成書には乳製品栄養児は母乳栄養児よりさらに高いと記載がある。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1189

印刷版ISSN:0025-7699

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