文献詳細
文献概要
症例 レントゲン写真を中心とした腰痛の症例(3)
上部腰椎変形,がんの腰椎転移,脊椎カリエス,その他
著者: 恩地裕1
所属機関: 1阪大麻酔科
ページ範囲:P.573 - P.576
文献購入ページに移動上部腰椎の楔状変形と圧迫骨折
腰痛を主訴として来院した患者のレントゲンをとつてみると,図1の第1腰椎に見るような楔状変形を認めることがある。これを見てただちに,第1腰椎の圧迫骨折と診断しては大変な誤まりである。第12胸椎,第1腰椎はよくこの形をしており,腰痛とまつたく関係のないことが多い。この部分は腰椎の前彎と,胸椎の後彎が移行する部分で,非常な圧迫が加わつているので,こういう形に変形するのであろう。図1の例では,腰痛の原因はそれより下の第2,3腰椎間の変化によるものであろう。これは前回に述べた,骨堤形成と第2腰椎の後方移動があるので,明らかにこの部の椎間板の著明な変性と,この部における異常可動性が存在するといえる。そして,これが腰痛の原因であろう。したがつて,診断は第2/3腰椎骨軟骨症にもとづく異常可動性で,治療としては,軟性コルセットの使用である。あるいは,まつたく対症的療法もよい。
これに対して,つぎの図2はやはり第2腰椎に楔状変形が見られる。しかし,この変形は前のものと比べると椎体上縁だけの変化で,しかも中央部が陥凹している。これは,圧迫骨折と考え,腰痛の原因としてもよい。この椎体の上(すなわち第1/2腰椎間)の椎間板は他のものに比して高さを増している。こういう点が前の図1とまつたく異なつている点である。椎間板は比較的しつかりしていて,椎体のほうが弱くなつていて,上縁がつぶされたと考えてよい。
腰痛を主訴として来院した患者のレントゲンをとつてみると,図1の第1腰椎に見るような楔状変形を認めることがある。これを見てただちに,第1腰椎の圧迫骨折と診断しては大変な誤まりである。第12胸椎,第1腰椎はよくこの形をしており,腰痛とまつたく関係のないことが多い。この部分は腰椎の前彎と,胸椎の後彎が移行する部分で,非常な圧迫が加わつているので,こういう形に変形するのであろう。図1の例では,腰痛の原因はそれより下の第2,3腰椎間の変化によるものであろう。これは前回に述べた,骨堤形成と第2腰椎の後方移動があるので,明らかにこの部の椎間板の著明な変性と,この部における異常可動性が存在するといえる。そして,これが腰痛の原因であろう。したがつて,診断は第2/3腰椎骨軟骨症にもとづく異常可動性で,治療としては,軟性コルセットの使用である。あるいは,まつたく対症的療法もよい。
これに対して,つぎの図2はやはり第2腰椎に楔状変形が見られる。しかし,この変形は前のものと比べると椎体上縁だけの変化で,しかも中央部が陥凹している。これは,圧迫骨折と考え,腰痛の原因としてもよい。この椎体の上(すなわち第1/2腰椎間)の椎間板は他のものに比して高さを増している。こういう点が前の図1とまつたく異なつている点である。椎間板は比較的しつかりしていて,椎体のほうが弱くなつていて,上縁がつぶされたと考えてよい。
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