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文献詳細

雑誌文献

medicina3巻5号

1966年05月発行

文献概要

今月の主題

心房細動—診断名ではない

著者: 高安正夫1

所属機関: 1京大内科

ページ範囲:P.637 - P.640

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 心房細動というのはいうまでもなく刺激成生異常によつてくる不整脈の1つであり,そのもつとも高度のものといえるであろう。期外収縮などは外部から心臓に刺激を与えればそれに応じて比較的簡単に起こるけれども,その刺激が続かなければそれきり心臓の律動は保たれる。
 心臓頻拍でも,いつまでも持続するものではない。ところが心房細動はおこすのに強烈な刺激が必要であり,また一旦おこれば刺激はなくなつていても,いつまでも持続することが多い。実際,臨床においても心臓にかなり重大な変化のあることが多く,昔は実際以上に重大に考えられ恐れられたこともある。本当は頻度も高く,必ずしもそれほど生命にまで重大な影響を及ぼさぬことが多い。しかし不整脈のどれもがそうであるように,心房細動もそれ自体決して1つの診断名,疾患単位ではなく,心臓のある1つの状態であり,あるいはそれによつて全身に影響を与えて一定のまとまつた所見を呈することがあるにしても,独立した疾病とはいえない。心疾患あるいはそれ以外の疾病に際して起こつてくる1つの状態,いいかえれば症状所見の1つである。もつともなかには,特発性ともいうべき,なんら原因と思われるものもなく,それ以外に異常の認められないものがあり,単独性心房細動lone atrial fibrillationとよばれているが,だいたいは原疾患があるわけである。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1189

印刷版ISSN:0025-7699

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