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文献詳細

雑誌文献

medicina3巻7号

1966年07月発行

文献概要

私の意見

医師の待遇についての一試案

著者: 柏崎昭1

所属機関: 1社会保険城東病院

ページ範囲:P.994 - P.994

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 医療制度の混乱を解決するのに為政者たちは健保財政のたてなおしに狂奔している。しかしその原因の糾明なくしては,その成果も近くふたたび崩壊することは明らかであろう。貧困な財政で発足した国民皆保険制度と低医療費に由来する乱診,乱療がその原因となつているのは多くの人が認めることである。私はこの解決策の一つとして疾病予防に力をそそぐべきと考え,昨年春『医療の広場』に小文を投稿した。
 医学が国家の福祉に結びつくには疾病予防,医療,社会復帰の三者がうまくかみ合わなければならない。医師の数もそれ相当要求されるし,その専門も高度のものが要求されるはずである。しかし現況では医療制度の中心は診療であり,社会復帰がやや軌道にのり,疾病予防についてはまだ一般的に関心がうすく,国家予算もまことに少額である。医療給付にのみ追われて,その対策に腐心して社会復帰・疾病予防面が遅れているのはまったく遺憾にたえない。われわれ医師にしても診療に時間をとられすぎるし,また,経済的余裕もないので積極的に努力しないのが現在の状況であろう。病院にしても医療の給付によつて独立採算のもとで経営されているかぎり,給付の対象にならない他の面についてはあまり積極的に動かないのもよく理解できる。あれこれと考えてみると結局,日本の医学が現在では福祉事業面からみて,まだ不十分であるといわざるをえない。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1189

印刷版ISSN:0025-7699

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