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文献詳細

雑誌文献

medicina3巻8号

1966年08月発行

文献概要

診断のポイント

甲状腺腫のない甲状腺機能亢進症

著者: 大野文俊1

所属機関: 1徳島大内科

ページ範囲:P.1116 - P.1118

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甲状腺腫は触れないが
 表題の意味は,甲状腺腫を認めえないが甲状腺機能亢進症,あるいは類似の症状を呈するものと理解してよいと考える。また現在では131Iを用いて検査を行なえば正確に甲状腺の認知や,その機能測定が可能となつているから,実地臨床上における表題のごとき症例というのは,外見または触診上,前頸部に甲状腺腫は認めがたいにもかかわらず頻脈,手指振顫〈せん〉,発汗,神経不安などがみられBMR,(Read式によるものでもよい)が増加しているという場合が大部分と思われる。
 このような症例については古くからいくつかの名でよばれてきており,たとえばmasked hyperthyroidism(Charcot),basedoid,formes frustes(Zondek),para-Basedow(Labbe)などや最近ではextrathyroidal hyperthyroidism(Zondek),extrathyroidalhypermetabolism(Bruger)などがある。ところでこのような名でよばれる症例のなかには,病態生理上から甲状腺自体の機能亢進はあるが甲状腺自体はまだ明らかに腫大していないために,あるいは部位的条件のために甲状腺腫として触れがたい症例と,甲状腺機能は正常のため甲状腺腫はないが甲状腺以外の要因により新陳代謝が亢進して一見,甲状腺機能亢進に見えるという症例が混在している。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1189

印刷版ISSN:0025-7699

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