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文献詳細

雑誌文献

medicina3巻8号

1966年08月発行

文献概要

治療のポイント

大酒家の生活指導

著者: 新福尚武1

所属機関: 1慈恵医大精神神経科

ページ範囲:P.1124 - P.1125

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大酒家の3型
 大酒家(大ざけのみ)といわれるものに3型がある。第1の型はいわゆる酒豪で,斗酒を辞さないが,自制が可能で,のむまいとすればのまないでいることができ,日常生活に乱れがなく,作業能力もふつうである。第2の型はいわゆるのんべえで,酒をしきりにほしがり,のみはじめるとだらしがない。しかし酒をのんでないときは常人と変わらず,作業もふつうにできる。第3の型はのんべえであるとともに,酒をのまないときでも長年の飲酒による障害が身体精神の各方面にある。すなわち肝臓,心臓,腎臓,神経系の障害を初め,精神面では知能の低下,意志薄弱,持久性の低下などがあり,作業能力が劣り,生活にも乱れがある。さらに場合によつては,この基礎のうえに急性の精神症状―意識混濁,幻覚・妄想,健忘症候群―などを生ずる。
 以上のような区別は治療を進めるにあたつてはきわめて大事なこととなる。第1のものはほとんど問題がない。飲酒の害がわかれば禁酒できるから,そのように指導すればよい。第2のものはいわゆる嗜癖(addiction,Sucht)で,治療上かなり困難がある。なかなか酒がやめられず,やがては第3の型に移る。第3の型は嗜癖の結果としての中毒(alcoholism)で,治療上はもつとも困難である。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1189

印刷版ISSN:0025-7699

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