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検査データの考えかたとその対策
血液培養陽性
著者: 古屋暁一1
所属機関: 1国立東京第一病院内科
ページ範囲:P.1225 - P.1225
文献購入ページに移動 血液培養陽性というデータは,患者の血液中に生菌が流れている,すなわち菌血症の存在を意味するから,菌量のいかんにかかわらず,その診断的価値ははなはだ大きい。それだけに,このデータを得たさいには,培養手技に手おちがあつて雑菌混入をまねく可能性のあることを念頭におかなければならない。検出された菌が,たとえばチフス菌とかブルセラあるいは髄膜炎菌とかいうように,平素われわれの環境に常在しない菌であれば,これを混入菌というふうに強いて疑つてかかることもないが,ブドウ球菌やグラム陰性杆菌のように,身体の内外に棲息している菌であると,培養の途中でまぎれ込むおそれが十分にある。ことに白色ブドウ球菌(表皮ブドウ球菌)は,1回だけの培養陽性ではまつたく信用できない。それによる菌血症と診断するためには,少なくも2回以上の陽性を確認する必要がある。血液培養というものは,行なうならば化学療法開始前にくりかえし(少なくとも3回)施行すべきであるが,それは検出率をたかめるということばかりではなく,まぎらわしい陽性をなくするためにも必要なことなのである。
さて,菌血症の存在が確かめられたとなると,検出された菌種によつてはただちに病名を決定しうるものがある。腸チフス,パラチフス,ブルセラ,流行性髄膜炎,脾脱疽などがそれであるが,チフス菌以外はきわめてまれである。
さて,菌血症の存在が確かめられたとなると,検出された菌種によつてはただちに病名を決定しうるものがある。腸チフス,パラチフス,ブルセラ,流行性髄膜炎,脾脱疽などがそれであるが,チフス菌以外はきわめてまれである。
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