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統計
文献概要
死亡率とふつういわれるのは,死亡数を全人口で割つた単純な率,いわゆる粗死亡率のことでありますが,表によつて現在までのこのあゆみをみますと,昭和30年ころまでの低下はまことにいちじるしいものがありました。しかし,32年のようにアジアかぜとよばれたインフルエンザの流行の大きかつた年はべつとしても,それ以後死亡率の低下はやや停滞ぎみであります。これは出生・死亡の減少や寿命の伸長によつて,わが国の人口中に老人の割合がしだいに増えてきたためであります。この現象を人口の老齢化とよんでいますが,最近のようにこの傾向がいちじるしくなりますと,粗死亡率による観察ではなく,毎年における人口の年齢構成が,ある年(ここでは昭和10年)と同じであると仮定して計算した訂正死亡率によつてみることが必要となつてきます。これによりますと,人口の老齢化の影響は取りのぞかれるわけであります。そこで表の訂正死亡率をみますと,33年以降でもなおわが国の死亡状態は改善されていることが認められるとともに,最近になるほど両死亡率の差が開いてきております。
図には三大成人病の死亡率の動きを示しましたが,脳卒中の粗死亡率は年々上昇して,40年には人口10万対175.3となり,戦前と同じレベルに達しましたが,訂正死亡率をみますと,増加はそれほどいちじるしくはなく,この数年は横ばい状態となつておりまして,昭和10年と比べるとかなり低率であります。
図には三大成人病の死亡率の動きを示しましたが,脳卒中の粗死亡率は年々上昇して,40年には人口10万対175.3となり,戦前と同じレベルに達しましたが,訂正死亡率をみますと,増加はそれほどいちじるしくはなく,この数年は横ばい状態となつておりまして,昭和10年と比べるとかなり低率であります。
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