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文献詳細

雑誌文献

medicina3巻9号

1966年09月発行

文献概要

正常値

血清HBDの正常値

著者: 林康之1 谷中誠2

所属機関: 1順大・臨床病理 2順大・臨床病理教室

ページ範囲:P.1308 - P.1309

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HBDとは
 α-ハイドロオキシ酪酸脱水素酵素(α-Hydroxybutyratedehydrogenase HBDと略す)はNADH2の存在のもとにα-Ketobutyrateを還元してHydroxybutyrateにする酵素で,心筋,腎,骨格筋,胎盤,肝の順に多く分布している。臨床的には前記臓器分布の順位をみてもわかるように,GOT, GPT, LDHよりも心臓に特異度が高いことを利用して心筋硬塞の診断,経過の判定にもちいられる。このHBDの利用とその存在はElliott1)らが,LDHアイソザイムの分析で電気泳動法により心筋由来のLDHに相当するα-ケト酪酸をすみやかに還元する酵素をHBDと名づけたことに始まる。すなわち血清逸脱酵素の測定が診断に利用されるのはその臓器特異性によるものであり,臓器特異性を高めるためのアイソザイム研究がHBDの臨床的応用となり,LDHとくらべて心疾患に特異度の高い酵素測定法となつたといえよう。一方LDHアイソザイムを定量的に測定することはまだ困難で,技術的にも煩雑で,これに要する時間を考えると心筋硬塞,肝疾患の鑑別診断にはHBD測定のほうがらくで,しかも結果が早く得られる利点がある。このようにHBDはLDHときわめて密接な関係があるが,その異同についてはまだ明らかにされたとはいいがたい。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1189

印刷版ISSN:0025-7699

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