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図解病態のしくみ—肝臓病・14
特発性門脈圧亢進症
著者: 中山義秀1 岡田和彦1 渡辺明治1
所属機関: 1富山医科薬科大学第3内科
ページ範囲:P.2206 - P.2212
文献購入ページに移動門脈圧亢進症とは,臨床的に脾腫,食道静脈瘤,消化管出血といった門脈圧の亢進に基づく症候群である.その主な原因として,門脈から肝静脈の下大静脈開口部に至るまでのどこかに門脈血流の狭窄ないし閉塞があり,それにより血流がうつ滞することがあげられる.最も多いのが肝内後類洞性閉塞である肝硬変によるものであるが,肝外門脈閉塞,肝静脈閉塞,血液疾患,寄生虫疾患など既知の原因疾患を有さない原因不明のものが特発性門脈圧亢進症(idiopathic portal hyperten-sion:IPH)といわれる.
歴史的にみると,Bantil)が巨脾,貧血,白血球減少,腹水,食道静脈瘤を示す疾患を報告し,これをBanti病とした.しかし,この疾患は腹水期を経て肝硬変に至るものであるとされ,今日の特発性門脈圧亢進症と同一の疾患とは考えにくい.
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