文献詳細
文献概要
SCOPE
遺伝子治療はどこまで進んだか—アメリカでの現状と癌治療への応用
著者: 河上裕1
所属機関: 1
ページ範囲:P.2407 - P.2417
文献購入ページに移動●はじめに
遺伝子治療とは,細胞内に遺伝子を導入し,疾患を治療する方法である.遺伝子の分子機構が解明され始めて,1967年にNirenbergによりその医学的,社会的意味が問われて以来,DNAの取り扱い方については,種をも変え得る点で,安全性,また倫理的側面から何度も討論が繰り返されてきた1,2).現在では,生殖細胞遺伝子治療においては導入された遺伝子が子孫へ継代され,また個体全細胞の遺伝子が変化するため,導入された遺伝子を後で取り除くこともできず,技術的,倫理的に問題が多すぎ,臨床応用の対象にはなっていないが,体細胞遺伝子治療は疾患によっては可能であると考えられている.
1980年代に入り,技術の進歩とともに遺伝子治療が可能になりつつあるとき,審査を経ずに施行され,問題となった初期の遺伝子治療(Rogers1971年,Cline 1980年)も契機となり,米国ではその審査,監視システムの確立に努力がそそがれた.
遺伝子治療とは,細胞内に遺伝子を導入し,疾患を治療する方法である.遺伝子の分子機構が解明され始めて,1967年にNirenbergによりその医学的,社会的意味が問われて以来,DNAの取り扱い方については,種をも変え得る点で,安全性,また倫理的側面から何度も討論が繰り返されてきた1,2).現在では,生殖細胞遺伝子治療においては導入された遺伝子が子孫へ継代され,また個体全細胞の遺伝子が変化するため,導入された遺伝子を後で取り除くこともできず,技術的,倫理的に問題が多すぎ,臨床応用の対象にはなっていないが,体細胞遺伝子治療は疾患によっては可能であると考えられている.
1980年代に入り,技術の進歩とともに遺伝子治療が可能になりつつあるとき,審査を経ずに施行され,問題となった初期の遺伝子治療(Rogers1971年,Cline 1980年)も契機となり,米国ではその審査,監視システムの確立に努力がそそがれた.
掲載誌情報