medicina30巻3号

1993年03月発行

今月の主題 ウイルス肝炎ABC

ウイルス肝炎の臨床

B型肝炎の感染経路—母子感染

著者： 多田裕¹

所属機関： ¹東邦大学医学部新生児学

ページ範囲：P.449 - P.451

文献概要

●HBs抗原陽性のキャリアの発生原因は，使い捨ての注射器や注射針の使用の普及により，わが国では母子感染が主となった．
●HBVの母子感染の感染経路は，出生時の母体血の児への移行が主と推定される．
●出生直後と生後2カ月のHBIG投与と，2カ月以降の3回のHBワクチン投与により，ごく一部の胎内感染例を除けばキャリア化の予防が可能である．
●母子感染予防処置の全国的な実施により，B型肝炎による異常は近い将来撲滅されることが期待されている．