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対談 内科診療のあゆみ・3
呼吸器疾患の変遷と診療の進歩
著者: 川上義和1 尾形悦郎2
所属機関: 1北海道大学医学部第1内科 2癌研究会附属病院
ページ範囲:P.556 - P.567
文献購入ページに移動尾形 私は昭和32年に医師免許を取得しましたが,当時の呼吸器診療といえば,まず打聴診と肺活量測定が診療のメインでした.そういう目で今の診療を見ますと,例えば循環器領域などでは,最近は胸部X線写真を1枚撮れば,打診はそんなに重要視する必要はないなどという意見も出ているようです.ただ,私は古いせいか,やはり打診をすれば,その現場でかなりの情報が得られると思っているんです.聴診についても同様で,呼吸音が聞こえるか否か,呼吸音と合わせて第2肺動脈音などに注意すれば,例えば自然気胸などが見つかることだってあり,やはり昔のクレンペラー時代の診断学は現在でも生きている気がします.
今考えてみますと,当時の診断学の本には難しい症候名がいろいろありましたね.昔の人はphysical examinationによる所見を詳細に記載して,それと病因との関係を明らかにしていったという意味で,確かに大変尊敬すべきだとは思うのですが,最近の呼吸器疾患のアプローチとして,physical examinationはどのような位置を占めているのでしょうか.
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