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今月の主題 消化器疾患の治療法—1994年の再評価 肝疾患
重症アルコール性肝炎
著者: 上野義隆1 森谷晋1 堀江義則1 石井裕正1
所属機関: 1慶應義塾大学医学部消化器内科
ページ範囲:P.91 - P.95
文献購入ページに移動●近年,本邦のアルコール性肝障害においても予後不良な重症アルコール性肝炎症例の増加が認められている.
●本疾患は,アルコール性肝炎のなかでも臨床症状が重症で,発症から約1カ月で劇症肝炎様の病態を呈し,多くは死の転帰をとることが多い(表1).
●本疾患と通常のアルコール性肝炎との病態を比較すると,本疾患では発熱,意識障害,黄疸,腹水などの発現頻度が有意に高く,血液生化学検査ではアルブミン値,プロトロンビン時間の有意な低下,白血球数,総ビリルビン値などの有意な増加が認められる(表2,3).
●一般臨床医の本疾患に対しての認識はまだ少なく,また通常のアルコール性肝炎と異なり,禁酒にもかかわらず,臨床症状の改善が認められないこともある.したがって,早期かつ的確な診断,適切な薬物療法が重要である.
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