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文献詳細

雑誌文献

medicina31巻11号

1994年10月発行

文献概要

増刊号 これだけは知っておきたい検査のポイント 第5集 血液生化学検査 窒素化合物

クレアチニン/クレアチン

著者: 堀岡理1 秋葉隆2

所属機関: 1東京医科歯科大学医学部附属病院検査部 2東京医科歯科大学医学部第2内科腎センター

ページ範囲:P.68 - P.69

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検査の目的・意義
 クレアチニン(Cr)は,肝で合成され,骨格筋に含まれるクレアチンの代謝最終産物で,その血中濃度は血中尿素窒素(BUN)と並ぶ腎排泄機能の代表的指標である.腎機能が正常な場合,1日尿中Cr排泄量は蓄尿が正確に行われたか否かの良い目安になる.血清Cr値はBUNと異なり,蛋白異化の亢進や消化管出血の影響をほとんど受けないが,糸球体濾過量(GFR)低下とともに尿細管でのCr分泌が亢進するとされており,また測定値の変動幅が小さく,さらに性差や加齢変化があるので,微細なまたは急性の腎障害の早期診断には有用でない.
 Crは腎糸球体から排泄され尿細管からあまり再吸収・分泌されないため,クレアチニンクリアランス(Ccr)はGFRの近似値と考えてよい.高蛋白食は一過性にGFRを亢進させるとされており,Ccrは1日量で評価するべきで,旧来のml/分という単位にはあまり意味がない.また,Ccr比較のための体表面積Sでの補正式(Ccr×K/S)の係数Kについては,本邦では1949年頃から1.48が用いられてきたが,欧米では1.73であり,日本人の体格の向上により新たな係数が必要となっている.しかし,実用上,成人ではこの補正を行わない値が用いられることも多い.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1189

印刷版ISSN:0025-7699

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