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文献詳細

雑誌文献

medicina31巻11号

1994年10月発行

文献概要

増刊号 これだけは知っておきたい検査のポイント 第5集 血液生化学検査 ビタミンおよび生体色素関連物質

ビタミンA

著者: 安田和人1

所属機関: 1帝京大学医学部臨床病理

ページ範囲:P.228 - P.230

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検査の目的・意義
 血漿(血清)レチノール濃度はビタミンA欠乏症,過剰症の診断に用いられる.ビタミンA活性をもつ物質の代表はレチノールであるが,血漿中にはその他レチニルエステル,レチノイン酸,プロビタミンAであるβ-カロチンなどが存在する.通常は主成分のレチノールのみが測定される.
 ビタミンAは動物性食品には主としてレチニルエステル,植物性食品にはβ-カロチンの形で含まれ,腸管から吸収されると小腸粘膜上皮細胞内でレチニルエステルとなり,カイロミクロンのコア(芯)を構成してリンパ管に分泌される.カイロミクロンは胸管を経て静脈に移行するが,その間にリポ蛋白リパーゼの作用を受け,トリグリセライドを放出してカイロミクロンレムナントとなり,一部はさらにLDL(低比重リポ蛋白)となって,アポEレセプター,アポB100レセプターを介して肝細胞に取り込まれる.この肝細胞に取り込まれたレチニルエステルは加水分解されてレチノールになり,脂肪貯蔵細胞(stellate cell,伊東細胞)に転送されて貯蔵され,または需要に応じて同じ肝細胞内でつくられるレチノール結合蛋白(RBP)と結合して血中に分泌され,さらにプレアルブミンと複合体を形成して標的臓器へ輸送される.したがって,それら過程のいずれかに障害が起こると血漿レチノール濃度に影響がみられる.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1189

印刷版ISSN:0025-7699

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