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増刊号 これだけは知っておきたい検査のポイント 第5集 血液検査 凝固/線溶系検査
プラスミン—α2プラスミンインヒビター複合体
著者: 松田道生1
所属機関: 1自治医科大学血液医学研究部門止血血栓
ページ範囲:P.328 - P.329
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血管内で血栓が形成されると,フィブリンの析出を契機として線溶系が活性化され,線溶酵素プラスミン(plasmin:Plm)が形成される.血管の破綻孔に形成される止血血栓(hemostatic thrombus)では,止血という目的を達成するために,フィブリンにα2-プラスミンインヒビター(α2-plasmin inhibitor:α2-PI)が活性型XIII因子を介して架橋結合され,フィブリン血栓が容易に溶け去ることのないように保護している(図1).しかし,DIC症候群におけるように,微小血栓の形成が急激に進むと,Plmの産生も急激かつ過剰となり,時には出血性素因を招来するが,このPlmも血中に存在するα2-PIに捕捉され,失活してしまう(図1).
α2-PIは,血中に存在するプロテアーゼインヒビターの中でも酵素を中和する力は抜群で,リジン結合部位(lysine binding site:LBS)を介してPlmと急速に結合し,次いで酵素結合部位でPlmの活性中心をなすセリン残基との間にアシル結合をつくってPlmを中和してしまう(図2).
血管内で血栓が形成されると,フィブリンの析出を契機として線溶系が活性化され,線溶酵素プラスミン(plasmin:Plm)が形成される.血管の破綻孔に形成される止血血栓(hemostatic thrombus)では,止血という目的を達成するために,フィブリンにα2-プラスミンインヒビター(α2-plasmin inhibitor:α2-PI)が活性型XIII因子を介して架橋結合され,フィブリン血栓が容易に溶け去ることのないように保護している(図1).しかし,DIC症候群におけるように,微小血栓の形成が急激に進むと,Plmの産生も急激かつ過剰となり,時には出血性素因を招来するが,このPlmも血中に存在するα2-PIに捕捉され,失活してしまう(図1).
α2-PIは,血中に存在するプロテアーゼインヒビターの中でも酵素を中和する力は抜群で,リジン結合部位(lysine binding site:LBS)を介してPlmと急速に結合し,次いで酵素結合部位でPlmの活性中心をなすセリン残基との間にアシル結合をつくってPlmを中和してしまう(図2).
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