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文献詳細

雑誌文献

medicina31巻11号

1994年10月発行

文献概要

増刊号 これだけは知っておきたい検査のポイント 第5集 内分泌学的検査 その他のホルモン

ガストリン

著者: 谷礼夫1

所属機関: 1東海大学医学部内科

ページ範囲:P.420 - P.421

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検査の目的・意義
 ガストリンは,主として胃の幽門前庭部粘膜に分布するG細胞と呼ばれる内分泌細胞(図1)から分泌される消化管ホルモンで,主な作用は胃の体部腺にある壁細胞から胃酸を分泌させる作用である.G細胞は胃の内腔側に微絨毛を持っていて,この部で刺激を感受して基底側から血中にガストリンを放出する.
 通常,血中ガストリンが高まれば胃酸分泌も増加する.その典型例がガストリン産生腫瘍(gastrinoma,膵臓の非βランゲルハンス島細胞から生ずる)によって起こるZollinger-Ellison症候群(高ガストリン血症・胃酸分泌亢進・難治性消化性潰瘍を特徴とする.以下Z-E症候群と略す)1)である.しかし,ガストリンの分泌にはフィードバック機構が存在するので,逆の関係の場合もある.すなわち,胃酸分泌がある程度以上高まると,それにブレーキをかけるようにガストリン分泌は低下し,また胃酸分泌が低下している状態では血中ガストリン値は上昇する.このフィードバック機構はG細胞の微絨毛が胃内pHを感受することによる.血中ガストリン値の測定は,胃酸分泌と関連づけて意義づけされるべきものである.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1189

印刷版ISSN:0025-7699

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