icon fsr

文献詳細

雑誌文献

medicina31巻11号

1994年10月発行

文献概要

増刊号 これだけは知っておきたい検査のポイント 第5集 免疫学的検査 免疫グロブリンその他

Bence Jones蛋白

著者: 中野栄二1

所属機関: 1日本大学医学部附属練馬光が丘病院臨床病理

ページ範囲:P.512 - P.513

文献購入ページに移動
検査の目的・意義
 悪性腫瘍のマーカーとしては尿中Bence Jones蛋白(以下,BJPと略)が最も古くから知られており,多発性骨髄腫(multiple myeloma:MM)のマーカーとして知られている異常蛋白である.BJPの化学的構造は免疫グロブリンのフラグメントであり,free light chain(L鎖)である.正常免疫グロブリンはheavy chain(H鎖)とL鎖から構成されており,L鎖にはκ鎖とλ鎖の2種類が存在する.BJPはいずれか一方のみの型であり,しかも単一クローン性であることが特徴で,健常者には存在しない.
 H鎖とL鎖は形質細胞内の異なるリボゾームで合成され,それぞれの2対から構成されてから分泌される.正常ではH鎖とL鎖が同量合成されているが,BJPはL鎖のみが腫瘍性に過剰産生されたものである.したがって単一クローン性であり,L鎖もいずれか一方のみの型で存在するのである.L鎖は分子量が約22,000であるが,BJPはほとんどがdimer(二量体)として合成・分泌され,正常な血清蛋白よりも分子量が小さく,尿中に漏出されてしまい,血清中では検出しにくい.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1189

印刷版ISSN:0025-7699

雑誌購入ページに移動
icon up
あなたは医療従事者ですか?