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文献詳細

雑誌文献

medicina31巻11号

1994年10月発行

文献概要

増刊号 これだけは知っておきたい検査のポイント 第5集 一般検査 尿検査

尿中β2-マイクログロブリン/α1-マイクログロブリン

著者: 藤井謙裕1 土肥和紘1

所属機関: 1奈良県立医科大学第1内科

ページ範囲:P.745 - P.747

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検査の目的・意義
 β2-マイクログロブリン(β2-m)とα1-マイクログロブリン(α1-m)は,尿中低分子量蛋白(lowmolecular weight protein)の主成分である.β2-mは分子量11,800 daltonで,すべての有核細胞で産生される.α1-mは分子量が33,000 daltonで,主として肝細胞で産生される.この両蛋白質は,低分子量であるために糸球体基底膜を容易に通過し,糸球体濾液として尿細管腔に到達する.尿細管腔に到達したβ2-mとα1-mは,95〜97%がエンドサイトーシスによって近位尿細管上皮細胞に取り込まれ,ライソゾーム酵素によってアミノ酸に異化される.
 β2-mとα1-mの尿中排泄が増加する機序には,①血中濃度の上昇,②尿細管機能障害,の2つが考えられる.血中濃度の上昇には,産生過剰による場合と,糸球体からの排泄障害による場合とがある.つまり,血中濃度の上昇に伴って,尿細管上皮細胞での再吸収能を凌駕する多量のものが尿細管腔に濾過されることになり,尿中排泄が増加する.また,尿細管上皮障害によって再吸収能が低下する場合も,尿中排泄は増加する.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1189

印刷版ISSN:0025-7699

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