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文献詳細

雑誌文献

medicina31巻3号

1994年03月発行

文献概要

今月の主題 臨床医のための血液疾患の理解 多血症へのアプローチ

多血症の定義とワークアップの方法

著者: 森岡正信1 桜田恵右2 宮﨑保2

所属機関: 1愛育病院内科 2北海道大学医学部第3内科

ページ範囲:P.517 - P.521

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ポイント
●多血症,すなわち赤血球増加症は,赤血球数,ヘモグロビン濃度あるいはヘマトクリット値が正常範囲を越えて増加した状態である.血液検査でこれらの数値が男子では600万,18g/dl,55%以上,女子では550万,17g/dl,50%以上を示す場合に赤血球増加症を疑い,原因精査をすべきである.
●これらの血液検査値は単位容積当たりで表現されるため,実際に循環赤血球量の増加した絶対的赤血球増加症と,循環血漿量が減少したために見かけ上の増加を示す相対的赤血球増加症とがある.この鑑別には,51Crを用いた循環赤血球量の測定が有用であるが,RI検査のためどこの施設でも可能なわけではない.
●日常臨床では,相対的赤血球増加症がしばしば経験されるので,まず脱水などの血液濃縮をきたす背景病態や基礎疾患の有無を慎重に診断することが大切である.
●次のステップとして,動脈血酸素飽和度と血清エリスロポエチン(EPO)を測定し,その結果により絶対的赤血球増加症の鑑別をすすめる.
●低酸素血症がなくEPO高値の場合は,腫瘍や腎疾患に伴う異所性EPO産生を疑い,画像・造影診断などを行う.
●低酸素血症によるEPO高値は慢性肺疾患や先天性心疾患などで見られる.EPOは低値で任酸素血症もない場合は直性多血症の鑑別が重要である.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1189

印刷版ISSN:0025-7699

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