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図解 病態のしくみ—遺伝子・サイトカインからみた血液疾患・3
非ホジキンリンパ腫
著者: 田野崎隆二1
所属機関: 1慶應義塾大学医学部輸血センター
ページ範囲:P.629 - P.637
文献購入ページに移動 ●はじめに 多くの非ホジキンリンパ腫(以下,NHL)細胞において,多彩な染色体異常のあることが知られている.最近,染色体異常に関連して多くの癌遺伝子が発見され,その機能が同定されつつある.本稿では,まず,NHLにおける染色体異常と関連遺伝子について概説する.中でも,特に研究の進んでいる癌遺伝子bcl-2については,最近発見されてきたその蛋白質の発癌における重要な機能,その活性化の機序,臨床的意義,治療への応用に至るまでを述べたい.
一方,サイトカインに関して近年の研究の中で特記すべきことは,治療における応用である.昨年アメリカで,従来からの標準的化学療法であるCHOP療法と,非交叉耐性の多種類の薬剤を用いたいわゆる第2,第3世代の治療法との間に有効性の差がないという,大規模な多施設無作為化試験の結果が報告され,この分野の研究者達は大いに戸惑った.その一方で,自家造血幹細胞移植の普及は,数少ない抗腫瘍剤でも早期に超大量を用いることにより治癒が期待されることが次々と報告されている.
一方,サイトカインに関して近年の研究の中で特記すべきことは,治療における応用である.昨年アメリカで,従来からの標準的化学療法であるCHOP療法と,非交叉耐性の多種類の薬剤を用いたいわゆる第2,第3世代の治療法との間に有効性の差がないという,大規模な多施設無作為化試験の結果が報告され,この分野の研究者達は大いに戸惑った.その一方で,自家造血幹細胞移植の普及は,数少ない抗腫瘍剤でも早期に超大量を用いることにより治癒が期待されることが次々と報告されている.
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