icon fsr

文献詳細

雑誌文献

medicina31巻4号

1994年04月発行

文献概要

図解 病態のしくみ—遺伝子・サイトカインからみた血液疾患・4

多発性骨髄腫

著者: 中島秀明1

所属機関: 1慶應義塾大学医学部内科

ページ範囲:P.842 - P.847

文献購入ページに移動
 ●はじめに 骨髄腫は,骨髄での形質細胞の腫瘍性増殖を本体とする疾患であり,一般に表1に示す5型に分類される.多発性骨髄腫は,骨髄での形質細胞の増加,血清・尿中の単クローン性蛋白の存在,骨融解性病変,腎機能障害,造血障害,免疫不全などを特徴とする骨髄腫の一亜型である.その頻度は,人口10万人あたり約0.95人で男性にやや多く,圧倒的に40歳以降の高齢者に多い.
 骨髄腫の病態に関する生物学的・分子生物学的な解析は白血病に比べて遅れていたが,近年になり骨髄腫細胞の主要な増殖因子がIL-6であり,骨髄腫細胞はIL-6受容体を発現しているのみならず,それ自身がIL-6を産生していることが明らかにされた.また,治療面ではこれまでのMelphalan-Prednisolone(MP)療法主体の姑息的化学療法から,インターフェロン,サイトカイン,自家骨髄移植を用いた,長期寛解・治癒をめざした治療法が広がりつっある.ここでは,B細胞悪性腫瘍としての骨髄腫の病態・治療法を中心に述べて行きたい.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1189

印刷版ISSN:0025-7699

雑誌購入ページに移動
icon up
あなたは医療従事者ですか?